国土交通省と経済産業省は、昨年6月15日に閣議決定した「未来投資戦略2018」に基づき、物流確信実現に向けた取り組みのひとつ「高速道路でのトラック隊列走行」について、2022年の商業化に向けて後続車無人での隊列走行の実証実験を行う。
国土交通省と経済産業省では、「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業」の一環として、2018年1月より、まず後続車両が有人の隊列走行と後続車無人システム(後続車有人状態)の実証実験を開始していたが、今回は距離を大幅に延長する。
今回、走行距離の拡大を通じてトンネル等の道路環境や夜間走行も含めた多様な自然環境下での技術検証と信頼性向上を図るため、2019年6月25日から2020年2月28日までの間、新東名高速道路「浜松いなさIC~長泉沼津IC」間においてトラック隊列走行の公道実証を実施するという。
今回の公道実証実験では、2~3台の後続車無人システム(実験では後続車にもドライバーが乗車)について時速70~80km/hで、短めの車間距離約10mまたは約20mのコンボイを組んで走行。実験車両は国内の単一メーカーとし、ミリ派レーダーやGPSトラッキング制御技術などを組み合わせて、車と車を電子的に連結して自動追従運転を行なう。この後続車無人システムでは、1名のドライバーが複数台の無人のトラックをコントロールし、高効率の運行を実現することで、慢性的なトラック・ドライバー不足対策に貢献。同時に、短車間距離によっていわゆる“スリップストリーム状態”をつくり、空気抵抗低減による燃料の節約と交通容量増大による効果、省エネを狙う。
いっぽう、4台の後続車有人システムでは、協調型車間距離維持支援システムや車線維持支援システムなどを使って運転支援実証を行なう。具体的には時速70~80kmで車間距離約35mの車群を組んで走行。この実験車両は異なるメーカーの車両間で実施する。
また、すべての実証実験は安全確保の観点から、全ての車両にテストコースで経験を積んだドライバーが乗車して行なう。
これらの実証実験を通じて、開発中の後続車無人システムなどの実現に向けて必要となる機能が設計どおり作動するかの確認、その信頼性向上と長期データ蓄積を行なう。同時に、トラック隊列が周辺走行車両の乗員からどのように認識されるか(被視認性、印象等)、トラック隊列が周辺走行車両の追い越しなど挙動に及ぼす影響などについても確認するとしている。
今回の国による実証実験は、自動運転システムの実用化に向けてのベース技術となるITS(路車間・車車間通信)システムや高度運転支援(自動操舵・隊列走行)技術について、開発してきた技術の検証が主眼と思われ、トラック製造会社・運送会社を含めて共同で取り組むことにより、開発の効率化を図るようだ。(編集担当:吉田恒)