2019年はオリンピック関連需要の一巡や秋の消費税増税、中国経済の減速の影響もあり景気後退を予測する声が多かった。このところの政府の各種景気指標を見ても景気減速を予兆させる動きも一部では見られる。しかしながら全体としてはオリンピック終了後の東京の国際化をにらんだ再開発プロジェクトの立ち上げやWindows10移行やDX・仮想化などのIT投資をはじめとする設備投資などを背景に諸指標は堅調に推移し、企業活動の動向も順調なようだ。
3日、財務省が本年第1四半期(1-3月期)の法人企業統計調査の結果概要を公表した。概要によれば売上高、経常利益、設備投資ともに良好な数字を示している。
金融を除いた全産業の売上高は372兆5204億円で前年同期比は3.0%の増加、経常利益は22兆2440億円で同10.3%と2桁の高い増加、設備投資が15兆6763億円で同6.1%増加の順調な伸びとなっている。
製造業、非製造業別に見ると、売上高が製造業で103兆8664億円、前年同月比は1.1%の増加、非製造業が268兆6540億円で同3.7%の増加となっている。経常利益は、製造業で6兆1857億円、同6.3%の減少、非製造業が16兆584億円で、18.4%の大きな増加で、これは1954年第2四半期以降260期の中で最も大きい実績である。設備投資については、製造業が5兆2585億円で同8.5%の増加、非製造業が10兆4177億円で同5.0%の増加となっている。
寄与の大きい業種を見ると、売上高の製造業では生産用機械の9.0%増、電気機械の5.6%増など、非製造業ではサービス業の8.9%増、建設業5.0%増などとなっている。設備投資の製造業では、化学が42.1%増、生産用機械が43.1%増とこの2つの業種の寄与が大きくなっている。非製造業では物品賃貸業47.7%増と大きく、運輸業・郵便業12.9%増などとなっている。
長期推移を見ると、売上高は16年以降5%程度の高い伸びを維持してきたが18年後半から伸び率が減速傾向というものの増加傾向は維持されている。設備投資については16年以降の増加傾向が加速している。
製造業の在庫投資は18年第4四半期に引き続き減少となっており生産調整が続いているようだが、全体として景気腰折れの兆候は今のところ見られない。(編集担当:久保田雄城)