政府基本方針、消費税増税を明記。消費喚起・底上げ策で景気腰折れ防ぐ

2019年06月17日 07:08

 今年に入って景況諸指標に失速を懸念させる動きが目立ち、また選挙も予定されていることもあって秋の消費税増税の実施について慎重な意見があいつだ。しかし各指標にバラツキがあるものの全体として景気後退を決定づける動きはなく、消費税増税は予定どおり実施するアナウンスメントが政府関係者から出ていた。

 11日、政府は経済財政諮問会議を開催し、その議事録の中に秋の消費税増税の実施とこれに対する対応を明記した。内閣府が公表した第3回経済財政諮問会議での議事内容をまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2019」の第4章「当面の経済財政運営と令和2年度予算編成に向けた考え方」において2019年10月1日の消費税率10%への引上げについて明記されている。

 この消費税率引上げへの対応として「2019年度の臨時・特別の措置等の適切な執行により、消費税率引上げ前後の需要変動の平準化を図り、経済の回復基調に影響を及ぼさないように取組む」として、税率変更前後の駆け込み需要とその後の反動による経済の混乱、消費の冷え込みを極力抑える対応を取る方針だ。

 駆け込み需要とその反動による消費の減少の平準化に関する具体的な措置としては、諸外国の事例を参考に作成されたガイドライン「消費税率の引上げに伴う価格設定について」の周知を進めることで、消費税率引上げの前後において事業者がそれぞれの諸事情を踏まえた上で自主的な判断により柔軟な価格設定が行われるよう誘導する。

 また、価格変更に当たって、下請などの中小・零細企業に対する消費税の転嫁拒否等が行われることがないよう転嫁拒否等に対する監視や取締り、事業者等に対する指導、周知徹底等に努め万全の転嫁対策を講ずるとしている。

 さらに、消費税は実質逆進性が強いと言われており、この観点から低所得者に配慮し酒類及び外食を除く飲食料品と特定の新聞については軽減税率を適応するとともに、税率設定に混乱が生じないよう個別の相談対応など丁寧な対応による周知徹底を行う。また、レジ導入の準備を支援し制度の円滑な実施と適正かつ安定的な運用のために必要な体制整備を含め万全を期すとしている。

 ここに示された対応については、その具体的詳細については記されていない。軽減税率は小売現場での混乱は避けられないであろう。可能な限りきめの細やかな支援策を講ずるとともに、14年増税時のような長期の消費低迷が起こることのないよう万全の対応を期待する。(編集担当:久保田雄城)