政府は名護市辺野古沿岸埋め立ての承認願書に添付した環境保全図書での資材運搬ルートについて説明していた「主として南側航路を利用する」との説明に反し、国の天然記念物のジュゴンの生息海域になる「北側航路」を使っていた。防衛省が20日行った日本共産党の赤嶺政賢衆院議員への説明で分かった。
昨年12月14日から今年5月末までの「海上運搬での船舶200隻はすべて北側航路」だった、という。
ジュゴン生息海域を通らないよう沖縄県は今月11日、沖縄防衛局の井上主勇調達部長に対して「土砂の運搬、海上搬入の停止を求める」文書を出した。
沖縄県は「環境保全図書においては海上からの運搬経路について、県内からの資材の運搬は主として南側航路を利用する計画とされていた」と指摘したうえで「実態としてジュゴンの生息域と重なる北側航路が主に利用されており、経路及び頻度による海上運搬行為がジュゴンにどのような影響を与えていたのかも明らかでない」と強い懸念を表明している。
加えて、船舶航行の水中音によるジュゴンへの影響では「第9回環境監視等委員会資料によると船舶(運搬船)1隻で予測」。しかし、実際には県の現地確認で「昨年7月31日には少なくとも6隻、8月19日には3隻、土砂投入後の12月18日には台船4隻、クレーン船2隻が確認されている」と指摘。運搬船以外にもボーリング探査のための船舶等が大浦湾で稼働していることを踏まえると「予測を超える水中音が継続して発生していた可能性がある」と実態に沿わない影響評価であることを提起した。
ジュゴンを巡っては沖縄本島周辺で生息が確認されていた3頭のうち、1頭が今年3月18日に今帰仁村の運天漁港沖の防波堤付近に漂着(死亡)しているのが見つかった。ほかの2頭については行方不明になっており、交易財団法人日本自然保護協会は安倍晋三総理らに「辺野古の埋め立て工事の即時中断を求める意見書」を3月19日に提出していた。(編集担当:森高龍二)