ASEAN諸国の中でも、屈指の経済成長率を維持して注目を浴びているカンボジア。カンボジアといえば、多くの人がまず頭に思い浮かべるのが世界遺産のアンコールワットだろう。比較的治安も良く、アンコールワットを目指して訪れる日本人観光客も多い。
近年は日系企業の進出も増えている。その理由は人件費の安さと豊富な労働力だ。カンボジアでは、30代前後の若者が人口の半数以上を占めており、労働力の確保には事欠かない。
中国やタイなどで人件費が上昇していることや、労働力の確保が難しくなっていることを背景に、中国やタイに代わる生産拠点としてカンボジアに進出する日系経企業が増えるのは当然ともいえよう。
日本にとっても大切なパートナーであるカンボジアだが、解決しなくてはならない大きな問題も抱えている。その一つが教育水準の低さだ。
カンボジアでは1970年代からおよそ20年にわたって内戦が続いたが、その中で誕生した共産主義のポル・ポト政権は資本主義教育を行っていたそれまでの学校や教育施設をことごとく破壊し、多くの教師が虐殺されてしまった。その結果、カンボジアの教育基盤は完全に崩壊してしまったのだ。
ポル・ポト政権崩壊後、少しずつ教育の立て直しが行われ、就学率も年々高くなってきているものの、未だに働きながら学校へ通う子どもや、学校へ通うことのできない子どもも多いのが現状だ。
この問題に対し、日本からも様々な企業や団体が支援を行っている。
例えば、ミツバチ産品の製造販売で知られる株式会社山田養蜂場もそんな企業の一つだ。同社は、2008年から認定NPO法人「JHP・学校をつくる会」と協力して、カンボジアの教育支援活動を行っている。音楽や美術など情操教育の普及活動の他、毎年1棟の校舎を建設、寄贈しており、今年も6月4日にバッタンバン州のドーントリー村の小学校に新たな校舎「山田養蜂場ミツバチ第 11 小学校」を寄贈している。
ドーントリー小学校は村で唯一の小学校だが、校舎の一部がトタンと角材で造られているため、午後は温度が急上昇し、雨の日は雨漏りや雨音もひどく、授業に支障をきたしていたという。今回の寄贈で教育環境が改善されたようだ。
また、大手予備校の河合塾もカンボジアへの教育支援に積極的で、机や椅子、文房具等の物資寄贈や図書の寄贈などの他、「カンボジア-日本友好学園」を支援し、現地の状況に合わせた支援活動を行っている。
日本が戦後、大きな経済発展を遂げた大きな原動力の一つは、間違いなく教育にあるだろう。教育環境が整えば、カンボジアもかつての日本のように、世界の国々にとってもますます重要な国に成長していくのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)