厚労省が昨年12月に公表した平成30年労働組合基礎調査の概況によれば2018年6月時点での全国の労働組合員の数は1007万人で前年比0.9%の増加であった。しかし、被雇用者数に占める組合員数の比率である組織率は17年17.1%のから18年の17.0%と一貫して減少傾向で推移している。
労働組合員数のピークは94年の1970万人で、その後は減少傾向で推移し10年には1000万人を割り込んでほぼ横ばいで推移している。こうした推移の中でパートタイム労働者の組合員数は増加傾向で全組合員に占める割合は15年には2ケタ台となり18年は13.0%までに至っている。
6月27日、厚労省が全国の組合員数30人以上の民間労働組合を対象にして行った「平成30年労働組合活動等に関する実態調査」の結果の概況を公表している。
15年6月時点と比べた組合員数の変化を聞いた結果では、組合員数が「増加した」と答えた労働組合の割合は33.5%で前回調査の34.1%より減少している。「変わらない」は24.1%で前回の22.2%より増加し、「減少した」との回答は42.2%で前回調査41.7%より増加した。全体として中期的な組合員数の動向は横ばいから僅かに減少傾向で推移しているようだ。就業者数の増加に比例し被雇用者数は増加傾向で推移しているため組織率の減少傾向が下げ止まらない状況だ。
産業別に「減少した」と回答した組合の割合を見ると電機・ガス・熱供給・水道業が74.8%と7割を超え最も多く、次いで情報通信業が56.8%と半数を超え6割近くに達している。
「組合員が減少した理由」を複数回答で答えてもらった結果では、「組合員の退職」が最も多く、中でも「定年退職」が67.8%と最も多く、次いで「自己都合退職」が65.4%と6割超えとなっている。「正社員採用の手控え」も3分の1にあたる33.7%存在する。
組織拡大を重点課題として取り組んでいる労働組合の割合を見ると、「取り組んでいる」が29.8%で前回調査の31.9%から減少し、「取り組んでいない」が70.0%と前回調査66.0%より増加している。「取り組まない理由」を複数回答で答えてもらった結果を見ると、「ほぼ十分な組織化が行われているため」が50.7%と半数を超え、「組織が拡大する見込みが少ないため」が21.1%の順となっている。
労使関係の状況については「安定的」が91.3%とほとんどの組合が「労使安定」と答えており、組織拡大への必要性が低くなっているのかも知れない。(編集担当:久保田雄城)