Insight Techが「老後の不安」についてアンケート。老後の心配、第1位は「お金」71%。「対策している」は28%に留まる。「公的年金だけで生活できない」75%。8割が現在の年金制度に負の感情。
先月3日に公表された金融庁の金融審議会の報告書「高齢社会における資産形成・管理」が公表された直後から「老後生活には2000万円足りない」という情報が流れ担当大臣が報告書の受け取りを拒否するという異例の騒動までに発展した。その後、状況は徐々に落ち着きを見せ、より正しく老後を豊かに過ごすためには十分な資産形成が必要であるとの認識へと変わっていったようだ。
9日、ITマーケティング業のInsight Techが自社の運営するサイト上で男女1499名をサンプルに「老後の不安」をテーマについてアンケートを実施した結果を公表している。
レポートによれば、「老後に最も心配していることは何か」と聞いた結果、「お金」が71%と断トツで多く、次いで「健康」20%、「家族」3%の順になっており、老後の不安は老後資金と言ってかまわない状況だ。
この不安に対して「何か対策を始めているか」という質問に対しては、「対策を始めている」と答えた者は28%に過ぎず、最も多い回答が「対策を考えてはいるが、まだ始めていない」で48%と過半数となっている。
年金未受給の者に「年金の受給額で生活は可能か」と質問した結果、「できない」と答えた者の割合は75%にのぼった。また21%が「わからない」で「生活できる」は4%のみであった。年代別に見ると、「できない」と答えた者の割合は10代で58%、20代で72%に対し60代以上で79%と年代が上がるにつれて「できない」の割合が増加する傾向が見られる。
「現在の年金への不満は何か」と聞いた結果では、「年金制度」「国」といったキーワードが目立ち、「受給年齢」「払った分」といったキーワードも多く拠出した額に対する給付額が減少して行きそうな状況に最も不信感を感じているようだ。「老後・将来のための資産形成での心配・懸念」に関する質問では、「年金」、「貯金」、「生活」、「物価」、「子供」などというキーワードが目立った。
Insight Techの解析ツール「ITAS」を用いこれらのデータから年金に対する感情をカテゴリー化した結果では、「ニュートラル」が15%、「低不満」が42%、「嫌気」16%、「怒り」8%、「あきらめ・失望」が19%と「低不満」と「あきらめ・失望」が多くなっている。
少子高齢化の中、年金制度の破綻はないものの支給減額は確実と多くの国民は考えているようだが、これが積極的な資産形成活動につながれば金融庁報告書も一定の役割を果たしたと言えるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)