「2ペダルが3ペダルを駆逐する」、MT車主流の欧州でも進む2ペダル化とその理由

2019年07月21日 12:08

AT vs MT

クルマの電動化で、エンジンの出力を車輪に伝えるトランスミッションという概念自体が過去のものになる? クルマの「2ペダル化」は必至だ──写真はイメージです

 いつからだ、日本のクルマは「2ペダル」車ばかりになったのは。現在、日本で走っている乗用車は、2ペダルのAT車がほとんどだ。しかし、欧州では、いまだにMT車が主流だ。しかし……。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計によると日本の乗用車販売(軽自動車と輸入車を除く)におけるAT車とMT車の構成比をみると、1985年にAT車は48.8%と半数に満たなかった状況だった。

 ところが、90年代になって急速に日本で「2ペダル化」が進む。まず、1990年に7割を突破して72.5%となり、1995年に8割超え、2000年に遂に91.2%になった。その後も2ペダル車の構成比は上がり、2016年に乗用車新車販売の約98.4%をAT車(2ペダル車)が占める。

 年代はややバラつくが、日本以外の地域データを示す。環境シンクタンクの国際クリーン交通委員会(The International Council on Clean Transportation, ICCT)による、MT車の構成比だ。

 それによると、かつての自動車大国・米国の乗用車は1992年25%、2012年7%、2017年3%。現在、世界最大の自動車消費国・中国では、2006年63% 、2012年57%。EU加盟27カ国では、2001年約88%、2010年約83%だった。日本と米国のAT比率が突出して高い。

 トルクコンバータを使ったAT車は1940年代に既に米国で実用化され、以降急速に普及する。ガソリンが安く、大排気量のOHVエンジンで、ゆったりドライブするのがメインの米国では、トルクコンバータの駆動ロスと燃費悪化は問題とされず、「イージードライブ」が圧倒的に優先された。

 戦後、米国は世界一の自動車消費国で、その大市場を目がけて日本や欧州の自動車メーカーが参入。米国で売るにはAT車が必須で、日本各社やメルセデスをはじめとした欧州勢はAT搭載車を投入する。日本でも都市部の「慢性的な渋滞」や「帰省や行楽シーズンの高速道路の信じられない渋滞」などを受けて、AT車が普及した。メーカー各社はAT車の燃費やレスポンスの向上に努め、6速以上の多段式ATや電子制御CVTが発展し、MTを搭載したクルマを製造する意味が無くなってきた。

 欧州メーカーにも優れたAT車が存在するのに、「燃費が悪く、価格も高いAT車を何故わざわざ選ぶかな?」「渋滞も少ないのに“イージードライブ”の必要性がない」「ダイレクトなドライブ感覚がいい」という信仰めいた一般論で普及しない。欧州でレンタカーを手配すると、ほぼ100%MT車なのは、こんな国民性が反映された結果だ。

 しかし、欧州各国でも、ここ数年でその様相が変わりそうなのだ。急速なクルマの電動化が2ペダル化を推し進めるということ。

 例を挙げると2016年10月、ドイツ連邦議会は2030年までに内燃機関エンジンを禁止する決議案を採択した。また、2017年7月、フランス政府も「2040年までにハイブリッド車を除く、ガソリンおよびディーゼルエンジン車の販売終了を目指す」と発表するなど急速に電動化にシフトしている。

 欧州諸国だけではない。インド政府は2017年6月、2030年までに内燃機関車の国内販売を禁じ、国内で販売する自動車を電気自動車のみに制限するとの方針を表明した。隣の中国政府もEV、PHV、FCV の販売台数を 2020年に200万台、2025年に700万台とする計画を掲げ、世界中でクルマの電動化は顕著になっている。

 もはやクルマの電動化は必至で、これまでの自動車のようにエンジンの出力を車輪に伝えるトランスミッションという概念自体が過去のものとなりそうなのだ。アクセルペダルはスロットルに繋がってはおらず、単にスイッチとなる訳だ。今後 MT のシェアは減ることはあっても増えることはないという流れは止められないようだ。(編集担当:吉田恒)