財務省が6月分の貿易統計を公表。輸出6兆5875億円で6.7%の減少、輸入が5兆9950億円で5.2%の減少。収支は5895億円の2カ月ぶりの黒字。中国への半導体製造装置が27%減少と大幅な減少を維持。
米中貿易摩擦の先行き不透明感が払拭されない。世界的に貿易額の飽和・縮小傾向の中、日本においては米中貿易摩擦が顕在化した2017年より輸出入の縮小傾向が続いており、また貿易収支も赤字傾向が増大しているようだ。
18日に財務省が6月分の貿易統計を公表したが輸出入ともに減少傾向が続いている。報告書によれば、6月の輸出額は6兆5845億円、対前年同月比6.7%の減少で7カ月連続の減少となっている。輸入額は5兆9950億円で5.2%の減少と2カ月連続の減少だ。輸出額から輸入額を差し引いた収支は5895億円で2カ月ぶりに黒字へ回復している。
品目別に見ると船舶が32.6%と大幅な減少、自動車部分品も14.1%減、鉄鋼が11.6%減となっている。輸入については医薬品が24.0%、航空機類が45.3%の大幅な増加になっており、減少品目では非鉄金属が20.1%の減少、液化天然ガス11.7%減少、有機化合物15.4%の減少となっている。
地域別に見ると、米国の輸出額が1兆3555億円で最も多く、伸び率は4.8%の9カ月連続増加、輸出は6856億円で2.5%の2カ月連続減少、収支は6699億円の黒字となっている。品目別には、半導体が210.3%、医薬品が77.3%とそれぞれ大幅な増加で、輸入では非鉄金属鉱が244%の大幅な増加、減少品目では原動機が22.8%の減少となっている。
これに対して中国では輸出が1兆2459億円、10.1%の減少、輸出が1兆3772億円、5.3%の減少で1313億円の赤字だ。品目別には自動車が78.7%と大幅に増加したものの、自動車部分品が30.5%、半導体製造装置が27.1%とそれぞれ大幅な減少で、品目毎の動向から日中貿易摩擦の影響を感じさせる。輸入では電算機が14.8%増加である一方、鉄鋼33.8%、通信機24.8%などで大幅な減少だ。
アジア全体でも輸出が8.2%の減少、輸入が6.3%減で、中でも韓国で輸出が14.8%の減少、輸入が13.6%の減少と輸出入ともに2桁の大幅減少となっている。対韓国の輸出を品目別に見ると構成比の大きい一般機械で36.1%の大幅な減少となっている。フッ化水素を含む化学製品全体では0.7%の増加であるがフッ化水素を含む品目データは掲載されていないため細目での動向は不明だ。半導体素材関連の対韓国規制が発表されたのが7月1日なので今後の動向が注目される。世界的に保護主義的傾向が増している中で貿易縮小傾向が顕著になっていることは危惧すべきことだ。(編集担当:久保田雄城)