安倍政権外交が韓国、ロシアとの間の「領土問題」に厳しさを増幅させる結果になっている。韓国との間では徴用工問題をきっかけに、安全保障を理由として韓国を「ホワイト国」から除外。この結果、韓国は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の更新是非を検討。更新するかどうか24日までに判断しなければならないが、協定破棄なら日米韓連携にも影響を与えることは避けられない。
加えて、韓国が実効支配する竹島(韓国では独島)について、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官(国防相)は5日の国会国防委員会で、独島の警備を『警察』から『海兵隊』に移管すべきとの野党議員の発言に「国家レベルで検討できるようにしたい」と治安維持のための警察ではなく野党議員が提起した領土防衛のための「独島警備軍」編成に前向きな姿勢を見せた。聯合ニュースが5日夕伝えた。この議員は「GSOMIA廃棄よりも韓国の意思を示す良い方法だと主張した」と報じている。
領土問題、歴史問題を超えて未来志向の日韓関係構築を目指してきた歴代両政府の路線にヒビが入りつつある。そうした中でも安倍政権は徴用工問題で一歩でも譲歩すれば政権崩壊につながるとの危機感があるため、強硬姿勢は崩せないでいるとの見方もある。落としどころが見えない状況だ。
ロシアとの関係では安倍晋三総理はロシアのプーチン大統領と非常に良い関係にあると主張する中で、ロシアのナンバー2、メドベージェフ首相が北方4島の択捉(エトロフ)島を今月2日に訪問。さらにロシア政府は国後(クナシリ)島の周辺海域で射撃訓練を実施すると日本に通告。ロシア軍による軍備強化が北方領土で進んでいる。
安倍総理は9月にロシアのウラジオストクで開かれる「東方経済フォーラム」に出席する方向だが、日ロ首脳会談が実現するとして、どのような実効性を持たせられるのか、領土をめぐって厳しい状況が続きそうだ。(編集担当:森高龍二)