近年、美容や健康に関心の高い人の中で話題になっている「アピセラピー」というワードをご存じだろうか。
アピとはラテン語で「ミツバチ」をさす言葉で、蜂蜜をはじめ、ローヤルゼリーやプロポリスなど、ミツバチがつくりだす恵みを美容や健康に役立てる自然療法のことだ。
古くから蜂蜜を日々の生活の中で健康に役立ててきたヨーロッパ、中でも養蜂大国といわれるルーマニアを中心に、最近は日本でも、美容面のみならず、医療面においてもさまざまな効能について科学的研究が積極的に行われている。
アジア・オセアニア生理学連合の2019年大会では、高齢者がローヤルゼリーを継続摂取することで筋肉を維持する可能性を示唆する結果や、ローヤルゼリーが筋肉をつくる大元となる筋幹細胞に積極的に働きかけるというエビデンスが発表された。日本でも、山田養蜂場の研究によると、65 歳以上の高齢者150 名を対象に総合的な筋力と関連する握力テストを実施したところ、ローヤルゼリーの飲用量の増加と共に握力が維持できる傾向が認められたという。
筋肉は身体や肌を支えるために最も重要なものだが、加齢とともにその筋肉量は減少してしまう。筋肉量が低下すると、運動能力や体力が衰えるのはもちろんのこと、皮膚もたるみ、肌のハリもなくなり、見た目の老化が進んでしまう。50歳を過ぎると、筋肉の元となる筋幹細胞は20代の約半分以下に減少してしまうというから、高齢者はもとより、30代、40代のうちから、筋肉量の維持を心掛けたいものだ。世界規模で高齢化社会が進む中、老化の防止やアンチエイジングの救世主として、ローヤルゼリーへの注目はますます大きくなりそうだ。
とはいえ、多くの化粧品や美容品メーカーでは、まだまだローヤルゼリーを配合した製品は少ない。タンパク源が豊富なローヤルゼリーには、コラーゲンやヒアルロン酸の産生を促したり、肌の水分量をアップしたり、抗糖化にアプローチしたりと、さまざまなエイジング効果が報告されているものの、ミツバチの減少や養蜂業者の減少などの影響もあり、良質なローヤルゼリーを手に入れることが年々困難になっているのが現状だ。
日本では、前述の山田養蜂場が早くからこれらの効果に着目し、希少なローヤルゼリーから抽出したエキスを60%もの高濃度で配合した「薬用RJエッセンス」を展開。根強い人気商品となっているが、養蜂の専門家でない一般メーカーにとっては、原材料の確保がまず難しいところだろう。
生きている限り、老化は誰もが避けられない宿命的な現象だ。でも、普段のケアと心がけで、少しでも若々しく保つようにしたい。健康のためにも、美しく生きるためにも、日々の生活に、飲んでも塗ってもアンチエイジングに役立つローヤルゼリーを取り入れてみてはいかがだろうか。(編集担当:今井慎太郎)