野田佳彦元総理は9日の自身の「かわらばん」で今月5日の日ロ首脳会談を取り上げ「領土問題解決を含む平和条約交渉について何ら進展がなかった」としたうえで「経済協力を次々実現していけば最後はロシアも領土問題で譲歩してくるだろうという安易な交渉に陥っている」とし「領土を人質に日本から金と技術を徹底して引き出し、最後は食い逃げされるかもしれません」と現行の交渉方法に警鐘を鳴らした。
野田元総理は「対ロ交渉については戦略的に再検討すべきではないか。むしろ、プーチン後の時代をにらんだほうが賢明と思う」とまで踏み込んだ。
野田元総理は「田中角栄政権下で旧ソ連との交渉最前線に立ったことのある元外交官・新井弘一氏(現国策研究会理事長)は対ロ外交には『3つの悪』があると指摘されている。第1は希望的観測、第2は交渉力の欠如、第3は任期中に成果を上げたいという功名心」と紹介し「安倍外交にも3つが当てはまると思う」と指摘した。
そして「安倍・プーチン会談は27回も積み重ねてきたが、現に領土問題は全く進んでいない」と指摘。交渉力の欠如について「安倍総理も河野外相も『北方領土は日本の固有の領土である』と口にしなくなった。一方、プーチン大統領もラブロフ外相も『第2次大戦の結果、北方領土はロシア領になった』と公言し続けている。交渉に臨む立ち位置が日本は既に後退」と問題視した。
プーチン大統領は日ロ首脳会談の翌日の6日、ウラジオストクでの市民との交流会で「スターリンがすべてを手に入れた。議論は終わりだ」と発言。領有権を主張する日本の立場を完全否定。2島返還交渉も難しく、領土交渉は後退しているとしか見えない状況だ。(編集担当:森高龍二)