今年のラグビーワールドカップや来年の東京オリンピックなど大きなイベントもありインバウンド戦略、訪日観光客の引き込み戦略は順調に成果を上げているようだ。訪日客数トータルでは計画を上回るペースで推移してきたというものの、訪問先が東京、大阪、京都などの大都市に集中しているため、政府は地方創生との絡みからも訪日客を地方へ誘導する意向だ。こうした流れの中で自治体も様々なマーケティング戦略を仕掛けている。
ITサービス業のモバイルライフジャパンが9月下旬、全国の自治体職員1116名を対象に「自治体関係者の悩みと要望」に関するアンケート調査を実施、10月上旬にその集計結果を公表している。
公表された資料によれば、「年間で観光案内に使用できる予算額」については「100万未満」が35.2%、「100万円以上300万未満」15.3%、「300万円以上500万未満」18.0%、「500万円以上700万未満」10.3%、「700万円以上1000万未満」6.4%、「1000万以上」14.8%となっており、「300万未満」で50.5%、「500万未満」では68.5%と約7割が500万未満だ。
「観光案内として行っていること」に関する問いには、「地域紹介冊子」が40.5%で最も多く、次いで「観光サイト」36.0%と続き紙媒体が主流のようだ。
「インバウンド向けに対応しているか」という質問に対しては、56.4%が「はい」と回答し5割超え6割近くの自治体がインバウンド対応している。「どのような対応をしているか」と複数回答で質問した結果では、「多国語対応」が70.6%で最も多く、次いで「外国人スタッフの雇用」44.6%、「翻訳機導入」17.4%と続いている。
「現在の予算は十分か」という問いには、「適正」が43.5%で最も多かったものの「十分ではない」も40.2%おり「十分」の16.3%より多くなっている。
「インバウンド含む新しい取り組み」の意向に関しては、約半数の49.6%が「予算があればやっていきたい」と回答しており、次いで「良いものがあれば予算外でもやっていきたい」37.3%、「現状維持で十分」12.6%となっている。
「新しい取り組みをする上での懸念事項」については「ランニング費用」が33.5%と最も多く、次いで「初期費用」20.7%、「地元業者との付き合い」14.5%となっている。
インバウンド戦略に積極的に取り組もうという姿勢が見えるものの予算制約や地元業者との関係から自由に動けない自治体の様子もうかがえる。(編集担当:久保田雄城)