政府は2020年東京オリンピック、25年大阪万博にむけ、またインバウンド政策の一環としてもキャッシュレス化推進を重要課題の一つと位置づけている。キャッシュレス化によって産業の効率化が促進することは間違いないが、日本の現況は他国と比べキャッシュレス化が進展しているとはとても言えない状況だ。
調査業のMMD研究所が「2019年9月スマートフォン決済に関する実態調査」を8月に実施、その結果を9月19日に公表している。この中で若年層ほど「現金」の利用が多いという興味深い結果が出ている。
18歳から69歳の男女3万7040人を対象に普段の支払い方法について複数回答で聞いたところ、全世代で「現金」を利用すると回答した者の割合は90.5%、次いで「クレジットカード」71.3%、「カード型の交通系電子マネー」47.1%、スマホ決済16.4%、デビットカード5.6%、その他0.4%の順であった。海外で利用が進んでいると言われるスマホ決済は2割未満だ。
年代別に見ると、「現金」が10代で94.0%、20代91.0%、30代90.2%、40代90.5%、50代90.4%、60代90.3%、「クレジットカード」が10代18.9%、20代57.7%、30代69.6%、40代72.9%、50代76.9%、60代80.3%、「カード型電子マネー」が10代33.1%、20代40.3%、30代44.9%、40代48.1%、50代50.7%、60代50.4%となっており若年層で現金への依存度が高く、高齢層ではクレジットカードとカード型の利用が高くなっている。ただし「スマホ決済」では20代18.1%、30代21.4%に対し50代15.6%、60代10.6%で若年層ほど利用度が高いようだ。
スマホ決済を利用していると回答した者6083人に最も利用しているスマホ決済サービスについて聞いた結果では、「PayPay」が26.7%で断トツに多く、次いで「LINE Pay」12.1%、「楽天ペイ」11.6%の順となっている。
スマホ決済の利用頻度について「2~3日に1回以上」と回答した者の決済タイプを見ると、QRコード決済を利用と回答した者は27.7%、非接触決済が33.7%となっており非接触決済で利用頻度が多くなっている。
スマホ決済1回あたりに抵抗なく使える金額は「1万円未満」が7割を超え、「どんな金額でも抵抗がない」との回答は15.6%にとどまっている。日本でキャッシュレスが、特にスマホ決済が主流になるのは今しばらく時間がかかりそうだ。(編集担当:久保田雄城)