建設業の人材確保・育成支援のため助成金など、国が予算概要を取りまとめ

2020年01月20日 08:22

画・建設業の人材確保・育成支援のため助成金など、国が予算概要を取りまとめ。

厚労省と国交省が建設業の人材確保・育成支援のための2020年度予算案の概要を公表。若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ働き方改革を更に促進。助成金73億円など。

 日本は人手不足の状況が続いている。昨年11月の有効求人倍率は1.57倍で依然高い状態のままだ。中でも建設・採掘の職業全体では5.57倍、建設躯体工事の職業に限ると11.78倍と極めて深刻な状況だ。この背景にはオリンピックに関連した建設需要の増加に伴う求人数の増加もあるが、それ以上に団塊の世代が市場から退出する年齢をむかえるなど高齢化によって求職者数が急激に減少しているという現状がある。

 先月26日に公表された厚生労働省と国土交通省の「建設業の人材確保・育成に向けて(令和2年度予算案の概要)」のポイントによれば、建設業の技能者の約3分の1が55歳以上となっており他の産業と比べても高齢化の進展が著しい。

 こうした状況を踏まえ、政府は建設業が引き続き「地域の守り手」として役割を果たしていくためにも将来の建設業を支える担い手の確保が急務であるとし、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組むための令和2年度予算案の概要を取りまとめ公表した。

 概要では働き方改革を更に促進し、魅力ある職場環境を整備することにより、人材確保・育成を進めていくことが重要であるとし、特に若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置くとしている。

 厚生労働省と国土交通省は、1.「人材確保」、2.「人材育成」、3.「魅力ある職場づくり」の3つの重点事項で予算を編成している。

 1.「人材確保」では「建設業への入職や定着を促すため、建設業の魅力の向上やきめ細かな取組」を実施し、具体的には「建設事業主等に対する助成金による支援」が61.8億円、社会保険拡充や女性活躍など「誰もが安心して働き続けられる環境整備」に3100万円などが予算化されている。

 2.「人材育成」では「若年技能者等を育成するための環境整備」として「中小建設事業主等への支援」へ6.3億円、「地域建設産業の生産性向上及び持続性の確保」へ900万円などが予算化されている。

 3.「魅力ある職場づくり」では「技能者の処遇を改善し、安心して働けるための環境整備」として「働き方改革推進支援助成金(仮称)による支援」に72.9億円、「働き方改革推進支援センターによる支援」が91.0億円、「建設産業の働き方改革の推進」へ1.46億円などが予算化されている。

 政府はICT活用のi-constructionによって労働者1人当たり生産性の向上にも取り組んでいるが、同時に質の高い人材の育成・確保が急務となっている。(編集担当:久保田雄城)