新型肺炎の経済に与える影響が懸念されてきたが、既にその悪影響は消費のレベルにまで広がっているようだ。
中国武漢を発生源とする新型肺炎の影響は先月より調達・生産・物流の流れであるサプライチェーンに影響が出始め製造・卸業を中心に様々な対応がなされてきた。先月下旬からは政府によるイベント等の自粛要請や学校一斉休校など消費者レベル、国民生活レベルでの影響が出始めている。
製造業では昨年より中国・世界経済の低迷を受けて減速感が高まっていた。消費では昨年10月の消費税増税や台風や暖冬などの天候の影響で弱含みの状態であった。政府はこうした中でも内需主導と雇用安定を根拠に「緩やかな回復基調」の判断を維持している。しかし、新型肺炎の影響でこうした前提にも変化が見られるようになってきた。
3日、内閣府が2月分の消費動向調査の結果を公表した。これによれば、2月の消費者態度指数は38.4、前月差0.7ポイント低下し5カ月ぶりのマイナスとなり、昨年の消費税増税時からの回復基調が悪化方向へ反転した。公表に際しての談話で西村担当大臣は「新型コロナウイルス感染症の影響が反映されてきていると考えられる」として新型肺炎の影響を認めた。
消費者態度指数を構成する各指標の内容を見ると、「暮らし向き」が37.6で前月比は0.2ポイントのマイナスと先月に引き続き2カ月連続のマイナスだ。「収入の増え方」は39.8で同 0.1ポイント減とやはり2カ月連続のマイナス、「雇用環境」は39.4で2.4ポイントの大幅なマイナス、「耐久消費財の買い時判断」は36.8の同0.2ポイント減、資産価値は40.3で同0.1ポイントのマイナスとなっており、全ての指標でマイナスだが「雇用環境」以外は0.1から0.2のマイナスでほぼ横ばいで「雇用環境」のマイナスが全体を押し下げている内訳になっている。
長期の推移を見ると、各指標とも2018年より下降傾向で推移してきたが消費税増税のあった昨年初秋を底に回復基調で推移してきたが本年2月になり「雇用環境」の悪化に引きずられるように下降へと反転している。
人手不足の中「雇用環境」の悪化がどのようなものか判断できないが、この弱含みのトレンドに新型肺炎対策の自粛ムードが悪影響を与えることは間違いないであろう。西村大臣は「新型コロナウイルス感染症が消費や消費者マインドに与える影響について引き続きしっかりと注視してまいりたい」としている。(編集担当:久保田雄城)