今月7日に発令された非常事態宣言を受けて、対象となった7都市以外でも在宅勤務に移行する企業が増えている。それに伴って、休日の自粛ムードもさらに高まりつつある。本来なら、暖かい春を迎えて賑わいを見せる繁華街や行楽地も、人はまばらで寂しい限り。この状態は少なくとも、5月の大型連休明けまでは続きそうだ。
そんな中、SNSでも「巣ごもり」がトレンドワードになるなど、自宅での過ごし方に関心が集まっている。休日はもちろん、平日でも通勤や通学にかかっていた時間分の余裕ができる。ゆっくりと身体を休めておくことも大事だが、そればかりでは気が滅入る。せっかくの時間だから、せめて有意義に時間を過ごしたい。
趣味や副業などを持っている人は、それに没頭することもできるだろう。しかし、そうでない人は時間を持て余しているのではないだろうか。それならば、企業や団体が提案している「巣ごもり時間の過ごし方」を参考にしてみるのも一つの手だ。
例えば、木造住宅メーカーのアキュラホームは、住まいのお手入れに役立つ工具やキットを希望者に貸し出しを行うなど「おうち時間をエンジョイプロジェクト」を始動した。同社は、以前から住宅を購入したオーナー向けに、キッチンのお手入れや壁紙・床のキズ補修の方法などの住まいのメンテナンス方法を展開しており、この時期ならではの社会貢献活動といえる。この機会に貸し出し工具を活用して、家のメンテナンスやグレードアップを図ってみてはいかがだろう。同プロジェクトではこの他にも、DIYで未曽有の災害に備える防災術集の提供や、昨年G20サミットの各会場に使用されたり、テレビCMでも話題を呼んだ、世界初の「カンナ削りの木のストロー」の制作キットを希望者に提供したりしている。休校中の子どもたちと一緒に、木のストローづくりを通して、地球環境について考えてみるいい機会にもなるだろう。
また、日本唯一の現代舞台芸術のための国立劇場「新国立劇場」が期間限定で展開しているストリーミング配信「巣ごもりシアター」もおすすめだ。同劇場では、 W.A.モーツァルト作曲 オペラ「魔笛」 (2018年10月3日公演)やG.プッチーニ作曲 オペラ「トゥーランドット」 (2019年7月20日公演) など、過去の名作公演の記録映像を無料配信している。普段はなかなか敷居が高くてオペラなんてと思っているような人にこそ、ぜひご覧いただきたい。
日本で鑑賞できる最高峰のオペラが自宅に居ながらにして、しかも無料で見られるのだ。さらに、配信作品に関連するトークイベントやリハーサル映像なども紹介されているので、初心者にとっても、各作品の聴きどころや観どころがわかりやすくなっている。これを機会に新たな芸術に興味がわくかもしれない。
家の中にこもりきりで、子どもの運動不足が気になる方には、北海道日本ハムファイターズがYouTubeの公式チャンネルで配信している「ファイターズとおやくそく」シリーズも面白い。選手と一緒に体操をする「おうちでたいそうしよう」や「おうちでできるかんたんトレーニング」、また栗山英樹監督が直接、野球のコツやテクニックを伝授する「寺子屋ファイターズ」など、ファンならずとも楽しめる内容になっている。
連日、テレビやネットのニュースでもコロナ禍の不安を煽られるような情報が蔓延している。しかし、俯いてばかりいても好転はしない。コロナ禍が治まった後、元気でいられるためにも、今の時間をできるだけ有意義に使いたいものだ。(編集担当:今井慎太郎)