学校での学年始期を9月にとの議論が新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止で休校が続いていることから急浮上しているが、文部科学行政の事務方トップだった前川喜平元文部科学事務次官は「学年の始期を9月にする案は何度も検討した」としたうえで「コロナに乗じて議論すべきことではない」と平常に慎重に議論していくべき案件だと強く警鐘を鳴らした。
前川氏は「(この案件は)簡単なことではない」とし「学齢を5か月引き上げるのか?17か月間に生まれた子どもを1学年に括るのか?子どもと大人では1月の重みが違う。安易に考えてはならない。もし本当にやるなら周到な準備と経過措置が必要」とした。
また「今年の小1を9月に入学させると、その12分の5は入学時に7歳になる。来年以降もそうするなら、義務教育の年齢を『6歳から』でなく『6歳5か月から』に変えることになる。もし来年9月の新入生を6歳に戻すなら、来年の4~8月に6歳になる子どもも加わるから、この学年だけ人数が4割超多くなる」と当面の案件でもこうした課題があると提起した。
萩生田光一文部科学大臣は28日の記者会見で「ひとつの選択肢として考えなければ」と検討の余地に入れている。小池百合子都知事も「9月スタートもありだと思う」と許容範疇に入れた発言をしている。しかし、この状況下で急いで結論を出すものでないことは確かなようだ。(編集担当:森高龍二)