新型コロナとIT戦略。コロナでデジタル化を加速、企業の7割。リモートワーク環境の構築が主要因

2020年05月19日 06:05

画・新型コロナとIT戦略。コロナでデジタル化を加速、企業の7割。リモートワーク環境の構築が主要因。

アイ・ティ・アールが新型コロナ感染症と国内企業のIT動向について調査。企業のデジタル化は「大いに加速する」が27%、「やや加速する」が44%、合計で71%。リモートワーク導入の影響が主要因。

 新型コロナ感染症対策として経済活動の自粛が続いている。日本経済にとっても企業にとってもこれは戦後最大の大ピンチである。ピンチをチャンスに変えると言う言葉もあるように、ピンチの中での努力が長期的に良い結果をもたらすと言うこともある。

 現在、自粛の中でテレワークによる在宅勤務が推し進められているが、これもなかなか進まなかった日本社会のデジタル化、ICT化を一挙に推進するものになるであろう。テレワークを快適に行うためにはICT化の環境整備が行われなければならず、また資料のデジタル化が推進されねばならない。

 マーケティングコンサルタント業のアイ・ティ・アールが4月下旬、企業のI担当者1370名を有効回答として「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」を実施、12日にその集計結果を公表している。

 集計結果によると、「新型コロナでの自粛が自社IT戦略の遂行に及ぼす影響」について聞いた結果では、「大いに加速すると思う」が27%、「やや加速すると思う」が44%で合わせて71%が加速すると考えている。

 また、新型コロナの影響で緊急に実施した対策について聞いたところ、「テレワーク制度の導入」が37%と最も多く、次いで「リモートアクセス環境の新規・追加導入」が27%、「コミュニケーション・ツールの新規・追加導入」26%、「PC、モバイルディバイスの追加購入・追加支給」が25%と続き、やはりテレワークの本格的導入に関連する環境整備に関する投資が多いようだ。

 この他「社外取引文書(契約書など)の電子化対象拡大」が15%、「社内文書(申請書など)の電子化対象拡大」14%などテレワークに用いられる文書・資料などの電子化の促進も行われているようだ。これにともない「情報セキュリティー・ツールの新規・追加導入」も16%と合わせて行われている。

 ITRのシニア・アナリストである水野慎也氏は「今後3ヵ月は、ここまで緊急で進めてきたリモート環境などのネットワークやセキュリティを持続可能な状態に整備する企業が多いという結果が得られた。中長期では、テレワーク環境による業務で顕在化した社内・社外の文書手続きの電子化が進むと見られる」とし「既存のパラダイムに捉われず、この状況を変革のチャンスと捉え、IT戦略の見直しやそれを実現するための人材の開発に先手を打って対応していくことが重要」とコメントしている。(編集担当:久保田雄城)