黒川氏の定年延長の閣議決定撤回し、正常化を

2020年05月20日 05:43

 検察庁法改正案の今国会での成立は見送りになったが、次に焦点になるのが、政府が閣議決定で半年間の定年延長を決めた東京高検検事長黒川弘務氏の問題。

元検事総長ら検察OBらは「検察庁法改正手続きを経ず、解釈変更の閣議決定のみで決定しているため、留任に法的根拠はない」と法治国家として「異常な状態が続いている」として、閣議決定の撤回を求め、本来の法解釈、法的根拠に基づくあるべき姿に戻すよう抗議する意見書を法務大臣に提出している。

 官邸の門番と揶揄される黒川氏について、日本共産党の志位和夫委員長は19日、ツイッターで「(ネット番組で)森友事件の幕引きを図る時、『官邸も早くということで法務省に何度も巻きを入れている』という政府内部文書がある。佐川局長の『不起訴』処分を早く出せと、検察に介入していたことを示す重大文書だ。この時の法務省事務次官が黒川氏だった」と綴ったうえで「#黒川氏の定年延長の閣議決定の撤回を」と発信。

 志位氏は「この内部文書は2018年6月に共産・辰巳孝太郎参議院議員(当時)が国会で示したものだったが、当時、首相は『知らぬ、存ぜぬ』で逃げた。しかし、この文書は、黒川氏が官邸からすれば『巻きを入れやすい人物』であることを示している。首相が黒川氏の定年延長に違法な手段まで使ってこだわった理由がここにあった」と提起し、閣議決定撤回により、正常に戻すよう求めている。

黒川氏については安倍晋三総理が検事総長に就かせるため定年延長を閣議決定したとの見方がある。14日の総理記者会見では記者団から、三権分立、恣意的人事の懸念がある中、政治の信頼を保つため、検察庁法改正案の成立を一旦見送る考えはないか。あわせて、黒川東京高検検事長は物理的に検事総長に就くことは可能だが、どのように考えているかと問われ「黒川さんの人事についてはまだ決めておりませんから、ここで正に、私がそれを申し上げるというのは恣意的になるのではないかと思います。今、この段階では申し上げることができない」と回避した。検事総長に就ける考えがうかがえるものになった。(編集担当:森高龍二)