政府は働き方改革の一環としてテレワークの推進を唱えてきた。しかし、テレワーク制度を設けた企業は大企業を中心に3割程度で、実際の利用率も数パーセント程度にとどまっていた。新型コロナ感染症の広がりの中で、特に緊急事態宣言後、テレワーク利用率は急増し、全国で3割程度、東京圏では5割近くまで普及した。緊急事態宣言解除後、テレワーク利用率は低下傾向だが継続的利用の意向も少なくなく未だ3割近くを維持している。
米国に本部を置くIT企業のDropboxの日本法人が日本国内の企業・組織の有職者1000名を対象に4月下旬から5月上旬にかけて「テレワークに関する意識・実態調査」を実施、その結果レポートを13日に公表している。
レポートによれば、5月11から12日においてテレワークを実施していたと回答した者の割合は40.2%で、週5日以上が13.7%、週3~4日程度が12.7%、週2日以下が13.8%となっている。年齢別には20代が49.6%、30代が47.8%など若い世代で高くなっている。組織別では日系企業が39.3%に対し、外資系が45.1%、政府・公共機関等が45.7%と高くなっている。業種別では通信・情報サービスが62.3%と突出して高くなっている。地域別には関東の54.3%が突出して多くなっている。
「就業する会社を選択する場合、テレワーク環境の有無が影響するか」という質問に対しては、全体で「影響する」が47.1%、「影響しない」が52.9%と「影響しない」の方が多いのに対して、20代では「影響する」が60.7%、「影響しない」が39.3%、30代では「影響する」が52.6%、「影響しない」が47.4%と、若い世代では「影響する」が「影響しない」より多くなっており、就業先選択の上でテレワーク環境を重視しているようだ。
テレワークの効果については「長時間労働の是正」32.8%や「ワークライフバランス」31.7%等が多く、「有効活用できている」の回答は「週2日実施」している者で43.5%、「週3~4日」58.2%、「週5日以上」65.7%と利用日数が多い者ほどメリットを感じているようだ。
これに対して「メリットを感じていない」との回答は「経営者~部長クラス」で48.9%、「60代」で46.9%と企業の上層部ほどテレワークにメリットを感じていない者が多い。これは業務・作業の内容に関係しているのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)