米中貿易摩擦の長期化見通しによって先行き不透明感が増し2018年後半より世界経済が減速傾向に入った。この影響により好調であった日本の生産用機械や輸送用機械などの製造業も足踏み状態となり景気後退の色が濃くなってきていた。政府も先月下旬に18年10月から後退局面に入ったことを認めた。内需、消費についても昨年10月の消費税増税とそれに続く天候不良で景気減速感は強まり、20年に入ってからの新型コロナの影響によって日本経済は深い景気の谷底に入っている。
景気動向を表す重要な指標に新車登録台数があるが昨年より減速感を強めていた。3月までは前年の9割まで落ち込んだものの58万台とある程度の水準を維持していたが、緊急事態宣言の発令された4月は27万台、5月は22万台と極端な落ち込みを見せた。6月には35万台まで戻したものの未だ低水準を維持している。
3日に日本自動車販売協会連合会が7月の新車販売台数を発表している。これによれば、7月の新車販売台数(登録車)は全車種合計で23万9355台、前年同月の30万799台と比べると79.6%と8割台まで戻している。
車種別に見ると、普通乗用車が11万378台で前年同月の14万565台と比べ78.5%、小型乗用車が9万7095台で前年11万7585台の82.6%となっている。両者を合わせた乗用車全体では20万7473台で前年の25万8150台の80.4%となる。
貨物車では、普通貨物車が1万2171台で前年の1万7019台の71.5%、小型貨物車が1万9005台で前年2万4493台の77.6%、貨物車全体では3万1176台で前年4万1512台の75.1%となんとか7割半を超えている。
一方、旅客運輸で使われるバスについては706台で前年同月1137台の62.1%と未だ不調が続いている。やはり新型コロナの影響によるインバウンド需要の喪失など観光需要の低迷が背景にあると思われる。
全体として乗用車で8割まで戻しているなど回復傾向が見られるが、メーカー別に見ると、トヨタの大型・小型乗用車の合計が10万8807台で前年比84.6%となっているのに対して、三菱は1856台で前年比49.5%と未だ大きな落ち込みのままだ。ダイハツは小型車が好調で前年比140.5%、スズキは普通・小型ともに好調で前年比106.9%とメーカーによって大きな格差が見られる。(編集担当:久保田雄城)