記録的な猛暑に襲われる日本列島。熱中症対策としての「断熱」を考える

2020年08月23日 08:11

断熱

業界トップクラスの高断熱を実現する積水ハウスのSAJサッシ

 暦の上では立秋を迎えたものの、コロナ禍の猛威に加え、連日、最高気温が35度を超える猛暑日が続き、2020年の8月は大変厳しい夏となっている。お盆を過ぎてからも、全国各地で毎日のように熱中症警戒アラートや、高温注意情報が発令されており、8月17日にはついに、国内最高気温に並ぶ41.1度を浜松市で記録した。また、熱中症も多発しており、消防庁発表の速報によると、熱中症による救急搬送人員数は、8月8~16日の1週間で1万2,804人にのぼり、前週の1.9倍で今年最多となった。

 気象庁によると、今年の猛暑の原因はダブル高気圧だという。太平洋高気圧が強まるのと同時にチベット高気圧も勢力を強めて日本付近を覆って上空で重なり合うことで、まるで一つの大きな高気圧にのようになってしまっているそうだ。でも、これは今年の夏に限ったこととは言い切れない。近年の異常気象や地球温暖化を考えると、将来的にも気温が上がっていく事や、さらなる猛暑も充分に予測できるし、今から「できる対策」をしていく必要があるのではないだろうか。

 その対策の一つとして、例えば住宅の断熱がある。

 断熱といえば、冬のイメージが強いかもしれないが、そうではない。断熱は夏にも必要だ。とくに最近は家の中で熱中症で倒れて搬送されるケースが増えているので、新築やリフォームを考えているような場合はとくに、重点項目の一つにしていただきたい。

 また、断熱はリビングや居室だけのものと思いがちだが、これは危険だ。なぜなら、熱中症やヒートショックなどは風呂場や洗面所で起こりやすいからだ。風呂場、洗面所は洗濯機や乾燥機の熱がこもりやすく湿気もある。部屋の中よりも、夏は蒸し暑く、冬は寒い。これを防ぐためには、住宅全体の断熱を考える必要がある。

 では、断熱材を厚くすればいいのかというと、そうとばかりも言い切れない。どれだけ断熱材を厚くしても、熱の逃げ道になるようなすき間や、建物の構造体や下地材などの断熱材以外の場所に熱を伝えやすい「熱橋(ヒートブリッジ)」と呼ばれる弱点があれば、熱はそこからどんどん伝わってしまうのだ。また、断熱材とともに重要なポイントとなるのが「窓」だ。

 アルミ建材メーカーのYKK AP株式会社によると、窓の断熱性を決めるのは、大きく分けて「窓枠」と、枠の内側でガラスを固定する「障子」、「ガラス」の3点になるという。窓枠と障子に熱伝導率の低い樹脂を使い、複層ガラス等を用いることで、熱の伝達を抑え、断熱だけでなく冬場の防露にも効力を発揮する。

 住宅メーカーの積水ハウス〈1928〉も、窓の断熱に力を注いでおり、外部には厳しい日射しに耐える耐候性の高いアルミ、室内には質感や断熱性の高い樹脂を採用した複合構造の「SAJサッシ(超高断熱アルミ樹脂複合サッシ)」を使用。また、複層ガラスはアルゴンガスを封入した中空層を確保することで、業界トップクラスの高断熱を実現している。一般のアルミ樹脂サッシと比べると、なんと1.4倍もの断熱性があるそうだ。それでも足りない場合には、さらに断熱性能を向上させた「薄板トリプルガラス」や「真空複層ガラス」などの超高断熱ガラスも用意しているという。

 もちろん、同社では断熱材の扱いにも最新の技術で対応している。熱橋対策として、家じゅうを断熱材で包む手法を用い、断熱材が壁体内でずれ落ちないように工夫された施工方法を採用し、長期にわたって、室内の温度ムラを少なくする断熱性能を実現。最新の「省エネルギー基準」をクリアし、品確法に基づく性能表示制度の“等級4”に標準対応する住宅を提供している。

 同社によると、ただ断熱材を厚くするのではなく、さまざまな断熱材のつながりとバランスを考えながら適材適所に使用するとともに、施工性を向上させた確実な熱橋対策が快適な住まいを実現するという。

 断熱性能が高まれば、エアコンなどに費やす家庭の光熱費も節約でき、家計にも優しい。快適なのはもちろん、夏の熱中症や冬のヒートショック対策にもなる。。コロナ禍で、この先も在宅勤務などが続く家庭では、検討してみる価値は大きいのではないだろうか。(編集担当:今井慎太郎)