連日、記録的な猛暑に見舞われている日本列島。7月23日にはついに、埼玉県熊谷市で観測史上最高気温となる41.1度を記録した。熱中症の被害者も増加していることから、気象庁気も臨時で記者会見を開き「一つの災害と認識している」と異例のコメントをする事態となっている。
それにしても、今年のこの異様な暑さの原因はなんだろう。この猛暑は、地球温暖化の進行に加え、太平洋高気圧とチベット高気圧の2つの巨大な高気圧が重なって日本列島を覆いつくす「ダブル高気圧」が影響しているといわれている。また、この状況は8月にも持ち越すと見られており、しばらくの間はこんな暑さが続きそうだ。
そんな中、7月18日から20日までの3日間、東京ビッグサイトでは「猛暑対策展」という催しが行われ、同時開催されていたメンテナンス・レジリエンスTOKYO 2018、第10回 生産システム見える化展などと合わせて、3日間で計39371人の来場者で賑わった。猛暑対策展は猛暑対策関連ビジネスの活性化を目的とした専門展示会。製造業や物流業、小売・商社、イベント・レジャーなど、様々な業種に向けての様々な商品が紹介された。例えば、帝国繊維と公益財団法人日本ユニフォームセンターのブースでは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とのコラボレーションブランドJAXA COSMODEとして、冷却水をチューブで循環させて身体を冷やす「冷却下着ベスト型」など、先端素材や国内最高峰の縫製技術を集約した次世代商品が展示され、来場者の注目を集めていた。
猛暑対策展は業者向けの展示会だが、もちろん猛暑対策への関心は民間レベルでも高まっている。この猛暑を背景に住宅市場で再注目されているのが「ZEH」だ。ZEHとは、住宅の高断熱化と高効率設備によって省エネルギー化を図り、さらに太陽光発電などを活用することで家庭内においてエネルギーを創りだし、1年間で消費する住宅のエネルギー量が正味(ネット)で概ねゼロ以下となる住宅のことだ。一般社団法人 環境共創イニシアチブが発表している調査報告では、ZEHに住まう人の約97%が、室温をZEH以前よりも1℃高くしても「快適」と回答している。
また、アキュラホームの住宅展示場などでは、「井戸のある家」を2015年に同社のベース商品である「住みごこちのいい家」に井戸をセットにして限定販売したもの。平時は庭の植栽への水やりに利用したり、夏は打ち水に利用したりできる。また、災害が起こって断水になった際などは水資源の確保として役立つ。
ZEHはどうしても、その省エネ性能から家計に及ぼす経済的なメリットばかりがクローズアップされることが多いが、その省エネを実現するために、断熱や風通し、窓の配置まで詳細に考えられていることで、その住宅全体が「夏は涼しく、冬は暖かい」快適空間になっていることの方が、実は実際に住み始めてみると大きなメリットに感じるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)