緊急事態宣言下のような全国一律の自粛要請が解除になってから久しい。というものの日本社会全体としては自粛ムードが続いている。小・中・高等学校は登校・受業を再開したが大学では未だオンライン講義が続いている。1年生の中には未だ一度も登校しておらず大学の友人さえ出来ない者も少なくない。企業では緊急事態宣言時に比べ減少傾向であるというもののテレワークを続けている者も多い。パーティ・宴会やイベントなども開催できず仲間と直接会える機会は激減している。このような状況では当然「孤独」を強く感じる者が増加しているのではないか。
コロナ自粛と孤独感に関して、ロシアに本部を置くコンピュータセキュリティ会社カスペルスキーが「コロナ禍の孤独感に関するグローバル調査」を5月に実施し、そのうちの日本人500名分の集計結果を8月20日に公表している。
集計結果によれば、「新型コロナ流行前と比べて、外出自粛期間中の孤独感に変化はあったか」という質問に対して、「流行前と自粛期間中は同じくらい孤独感を感じた」と回答した者の割合が55.6%で最も多く、半数以上は孤独感に大きな変化はなかったようだ。「流行前より自粛期間中の方が孤独を感じた」と答えた者は21.8%で約2割の者が新型コロナ対策の自粛によって孤独感を強めたようだ。ちなみに「流行前の方が自粛期間中より孤独を感じた」も8.4%存在し、残り14.2%は「わからない」と回答している。
自粛期間中に「孤独感を和らげるのに役だったものは何か」を複数回答で聞いた結果では、「テレビや映画を見ること」が55.8%で最も多く、次いで「家族や友達に会うこと」が48.6%、「友達や家族と電話やビデオ通話をすること」31.8%、「音楽アプリやCDなどを聴くこと」23.0%などと続いている。この他、「FacebookなどSNSに投稿すること」8.6%などがあり、回答の中から「テクノロジーの利用」をしたものを合計すると71.6%の者がメディアやICTツールなどの「テクノロジーの利用」が孤独を和らげるのに効果があったと回答している。
カスペルスキー社のリサーチャー、デイビッド・エム氏は「このような時代にオンラインでつながりを保てる私たちは幸運です。いま実施されているソーシャルディスタンシングがすべて解除された後でも、この習慣は残るでしょう」とコメントしている。(編集担当:久保田雄城)