世界の経営幹部のコロナ対応。日本は先行きに悲観的。消費行動変容を重視、テレワーク進めず諸外国と格差

2020年09月08日 06:29

画・世界の経営幹部のコロナ対応。日本は先行きに悲観的。消費行動変容を重視、テレワーク進めず諸外国と格差。

日本生産性本部が「世界経営幹部意識調査『ポストコロナの世界と企業経営』」からのレポートを公表

 新型コロナ感染症パンデミックの終息は当初、最短でも2~3年かかると言われていたが、世界中の科学者の精力的研究によってワクチン開発にも目途が立ち当初のスケジュールより早めの終息の見通しが出てきたと言える。

 とはいえ、新型コロナが消え去り全く元の状態に戻ると言うことではない。アフターコロナ、ポストコロナなどとも言われているがコロナの存在を前提にサプライチェーンの見直しが唱えられるなどグローバル化減速の懸念も出てきている。そうした時代に向けて世界の経営層はどのような見通しを持ち対策を考えているのであろうか。

 3日、日本生産性本部が米国コンファレンスボードとの共同調査「世界経営幹部意識調査『ポストコロナの世界と企業経営』」を基に、新型コロナの企業経営に与える長期的影響や変化に対する経営幹部の意識を分析したレポートを公表している。この調査は「新型コロナウイルス後の世界をどう考えるか」をテーマに世界44か国1316名(うち日本は155名)の経営幹部を対象に5~6月に実施されたものだ。

 レポートによると、世界のCEOの42%がU字型(20年第4四半期に回復)、32%がL字型(21年以降に回復)、16%がW字型(経済規制が繰り返される)と予想しているのに対し、日本のCEOはほぼ半数の49%がL字型と悲観的な予想をしている。しかし、収益が20年初頭レベルに回復するのは「2021年以降」との見込みは日本のCEOで74%、これは米国73%、欧州76%と同じ水準だ。

 ポストコロナをにらんだ対応については、世界・日本ともに、CEOの約半数が「デジタル主導組織への変革ペースを速める」と回答している。日本のCEOの58.7%は「顧客嗜好変化を捉えるためビジネスモデルを再考」と回答し、米国の32.4%、欧州27.0%と比較して高くなっている。一方、世界のCEOの32.8%が「在宅勤務・テレワーク勤務者の増加」を挙げているのに対して、日本のCEOのそれは20.2%と相対的に低い結果となっている。

 しかし、日本のCEOの59.8%が「人々の動向が変化し、密集した都市からより開放的な郊外やさらに離れた準郊外に移動する」を選択しており、米国50.0%、欧州42.9%、中国22.9%など他地域より高く脱都市化の流れを重視しているようだ。

 「サプライチェーン再構築」を選択したのは日本のCEOで1.1%、世界でも10.2%のみでグローバル化への影響は今のところ小さいようだ。(編集担当:久保田雄城)