安倍晋三総理は11日、安全保障政策についてミサイル攻撃に対して「迎撃能力を向上させるだけで国民の命と平和な暮らしを守り抜くことが出来るのか」などと問題を提起した。
そのうえで「抑止力を強化するため、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を検討してきた。与党ともしっかり協議させていただきながら、年末までに、あるべき方策を示し、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境に対応していくこととする」との談話を発表した。
談話は閣議決定したものではないが、自民党が8月4日に政府に対し「憲法の範囲内で、国際法を遵守しつつ、専守防衛の考えのもと『相手領域内でも、弾道ミサイルなどを阻止する能力の保有』を含め、抑止力を向上させるための取組みが必要」などと提言したのを踏まえた、安倍内閣として最後の「防衛」に関する方向づけをする狙いがあるとみられる。
今回の談話により、次期総理は「さきの総理が、ミサイル阻止の新たな安保政策を年末までに示し、対応する」と国民に約しており、これをしっかり果たす責任が私にはある、と次期総理が国会答弁できる道筋を明らかにつけたことになる。
安倍総理は談話の中で「北朝鮮は我が国を射程に収める弾道ミサイルを数百発保有している。核兵器の小型化・弾頭化も実現している。これらを弾道ミサイルに搭載し、我が国を攻撃する能力を既に保有しているとみられている。昨年発射された新型短距離弾道ミサイルは、ミサイル防衛網を突破することを企図していると指摘されている。高度化された技術がより射程の長いミサイルに応用されることも懸念されている」と、抑止力強化へ新たな段階を迎えている旨を強調している。(編集担当:森高龍二)