任命拒否説明ハードル高く政府失敗すると元検事

2020年10月06日 06:24

 元検事の山尾志桜里衆院議員はツイッターで日本学術会議が総会承認を経て推薦した学者6人を総理が任命拒否したことに対し「任命拒否には違法の疑いがあり、疑いを晴らすための説明責任のハードルは相当高い」とし「おそらく菅政権は説明責任を果たすことに失敗する」と断じた。

 そのため、国会はこの問題で紛糾するとみられることから、山尾氏は「重要な臨時国会の場をこの失敗のプロセスに浪費すべきではない」として「臨時国会前に6名を追加任命した上で、日本学術会議とその人事の在り方について研究会を立ち上げるべきだ」と提言した。

 研究会の立ち上げにより国会において「この件についても本質的な議論が可能になるし、コロナと経済、米大統領選を踏まえた日本外交など重要な議論の時間もより確保できる」とまず、6人を追加任命し、議論を生産性のある議論にしていくべきだと求めている。

 山尾氏は総理行為の違法性について「(政府は、当時は)『制度上は任命拒否できるけど、私たちはしない』ということを述べているにすぎない、と強弁するかもしれないが、中曽根康弘総理(当時)が『政府が行うのは形式的任命』と言い切っていることからすれば、内閣には実質的判断権を持たせない法制度として誕生したと解釈せざるをえない」と指摘。

 「実質的判断権のないはずの内閣が、個別具体的に6名を任命拒否するという判断をしたという行動について、違法の疑いがあることは否定できない」と発信。

 説明のハードルが高い理由についても、自身が質問に立つなら、と山尾氏の視点だけでみても(1)例外的拒否権の存否をめぐる政府解釈を確定させ、(2)例外的な拒否権を認める解釈に立つ場合、一般的発動要件を問い、(3)その上で、今回の6名の拒否がその要件に該当することの具体的で合理的な説明を求める。他にも(4)過去の政府答弁と現在の政府解釈が整合するのか(5)解釈の変更があったならその内容と手続きは適正なのかなど、論点は拡散していく、と指摘した。

 また、山尾氏は「今回の日本学術会議をめぐる拒否権発動問題は、検察官定年延長問題と同じ轍を踏む可能性が極めて高い」とも指摘している。(編集担当:森高龍二)