持続する社会に必要な、持続する社会貢献活動

2020年10月11日 07:18

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昨年は災害レベルとまで言われた猛暑日を記録したが、今年はどうだろうか。熱中症で倒れたししないためにも、今から暑さ対策を考えておきたいものだ

 新型コロナウイルス禍の影響で、私たちを取り巻く社会環境、生活環境が目まぐるしく変化している。消費者のニーズも多様化する中、企業にも多様な役割と価値が求められているのではないだろうか。

 企業の社会貢献活動といえば、環境問題などに係わる植林などの取り組みや途上国の貧困問題への支援などがイメージされるが、近年は自社の業務の特性を活かした、次世代に向けた取り組みも目立つようになってきた。

 例えば、住友ゴムグループのSRIエンジニアリング株式会社は、以前は廃棄物として処理していたケミカルウッド端材を工業系・デザイン系の教育機関や職業訓練校に教材として無償譲渡する活動を2017年より行っている。タイヤ金型製作時に発生する廃棄物を次世代のモノづくりの人材育成のために再利用するこの取り組みは、同企業ならではの「持続可能な社会貢献」といえるものではないだろうか。

 また、トイレや浴槽など水まわりの住宅設備機器では日本を代表するメーカーであるTOTO株式会社〈5332〉は、2005年に日本国内で水にかかわる環境活動に取り組む団体に向けてTOTO水環境基金を設立。日本国内だけでなく、中国やベトナム、フィリピンなど海外15か国で活動する団体に対しても助成を行っている。日本国内では、愛知県豊田市で、川、海、湖を次の世代にを合言葉に、身近な川遊びスポットや楽しみ方等の情報を発信することで川ファンを増やす取り組み「クリアウォータープロジェクト」や、かつては通称「ほたる野」と呼ばれた習志野市実籾地区の里山の自然環境保護に取り組む「ほたる野を守るNORAの会」などがある。

 次世代に向けた企業の助成基金といえば、今注目されているのが、株式会社山田養蜂場の「みつばち研究助成基金」だろう。新型コロナウイルスの流行とともに、インフルエンザなどの感染症に対し、マヌカ蜂蜜に高い抗ウイルス効果があることを示したのも、この助成を受けた、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の渡辺健助教らの研究グループによるものだ。同助成事業は2008 年に創設され、これまで主に大学を中心として、 107 機関、 262 のテーマが採択されている。

 今年も9月29日、同社のみつばち健康科学研究所によって、第 11 回「山田養蜂場 みつばち研究助成基金」の成果発表会が開催された。今回は「ローヤルゼリー」「プロポリス」「はちみつ」「環境・養蜂」「環境予防医学」の全 5 部、14 名の研究者が、予防医学や地球環境の保護に役立つテーマを発表。第 5 部の「環境予防医学」では 千葉大学予防医学センター長で千葉大学大学院医学研究院環境生命医学教授の森千里氏が「環境汚染物質と必須微量元素の曝露によるヒト胎児影響のバイオマーカー検索」との演題で、環境汚染物質が子ども健康に与える影響について発表している。また、山田養蜂場では蜂蜜やローヤルゼリー、プロポリスなど、ミツバチ産品をはじめとする天然素材で健康を守ることを目指し、千葉大学に寄附研究部門を開設。子どものアレルギーや肥満、脳神経発達障害といった疾患を早期に発見したり、環境の改善によって疾患を予防したりするための研究を今後も継続していくという。

 近年、SDGsやESGなどへの取り組みが世界的に活発になってきているが、一過性のものでないことを祈りたい。ここで例に挙げたTOTOや山田養蜂場の取り組みは、これらの言葉が頻繁に使われる前から行われてきたもので、今後も続いていく予定だ。これからは益々、企業の社会貢献活動においても、持続していくことが求められるようになるのではないだろうか。(編集担当:今井慎太郎)