故・中曽根康弘元総理の政府と自民党の合同葬儀に、文部科学省が国立大学などに弔旗を掲揚するよう文書で要請したことが明らかになり、加藤勝信官房長官は15日の記者会見で「公の機関として広く哀悼の意を表するよう『協力を求める旨の趣旨』で、強制を伴うものではない」などと弁明し、文科省がこうした要請をしたとしても「教育の中立性を侵すものとも考えていない」などと釈明した。
また「弔意表明をするかどうかは関係機関において判断される」とそれぞれの自主的判断に委ねられるとした。弊社取材の複数の自治体ではいずれも「行う予定はない」と答えたが、ある地方公務員は「自主判断などというのは詭弁としか(思えない)。やはり強制のように感じる」とこうした通知に懸念を示した。
ネット上でも「詭弁を弄するのもいい加減にしてほしい。自主判断でいいなら、わざわざ、こんな通知、出す必要ない」「なぜ、このような通知を出したのか問題だ」「国葬でもないのに、自主的判断と言いながら通知して弔意を求める。思想・良心の自由を侵されている感覚」など政府行為に疑問や嫌悪感を示す声が相次いでいる。
立憲民主党の蓮舫参院議員はツイッターで「自民党と政府の合同葬に明治天皇ご葬儀の弔旗の揚げ方を図で示す『閣令』、黙?時刻が午後2時10分、『この趣旨に沿ってよろしくお取り計らいください』と加藤官房長官名で国立大学、教育委員会に通知」と紹介したうえで「元総理の功績は尊敬に値します。が、菅政権は内心の自由に踏み込むのか」と強い疑問と懸念を提起した。
日本共産党の志位和夫委員長は同日の会見で「大学、教育現場、自治体、官公庁への弔意の押しつけは『内心の自由の侵害』となり、やめるべき」としたうえで「私自身は合同葬への案内にこたえて、弔意を示すために『出席』を通知していたが、こうした事態が起こったもとで出席するわけにいかなくなった」と欠席せざるを得なくなったとした。(編集担当:森高龍二)