菅総理答弁破綻状態 日本学術会議問題追及続く

2020年11月01日 10:01

 菅義偉総理は29日の衆院本会議で各党代表者から質問を受けたが、日本学術会議の会員推薦に対し、6人を任命拒否した理由については「個々人の任命理由には答えられない」と逃げるばかり。そして、任命にあたっては「日本学術会議法に沿って行った」と違法性だけは否定し続けた。

 ただ総理自身が記者会見で日本学術会議が日本学術会議法に基づき推薦したリスト(105人掲載)を見ていないと言っていたにも関わらず「多様性が大事であることを念頭に、私が任命権者として判断した」と答弁するなど、新たな説明を加えれば加えるほど、答弁に矛盾が生じ、論理破綻を起こしている。

 29日質問に立った日本共産党の志位和夫委員長は、ツイッターで菅総理が任命に関して偏り是正や多様性の必要を上げていることを踏まえて「会員を出していない大学や比率の少ない女性の研究者を除外したのか、その理由を質したが、『多様性が大事ということを念頭に判断した』との答弁を繰り返す」のみで「多様性が大事だと首相自身が言ったので質問したのに、同じことを繰り返す首相」とまともに答弁できない支離滅裂な説明を浮き彫りにした。

 また菅総理が憲法15条1項を根拠にしていることに関しても「この条項は『主権者・国民』が公務員の選定・罷免権を持つというもので、『首相』が持つというものではない。菅氏は、自分はあらゆる公務員の任免権をもっていると錯覚しているのか」と答弁の体をなさない総理答弁に苦言を呈し、6人を任命して正常な状態に戻すよう、求めている。

 立憲民主党の福山哲郎幹事長も、この日の参院本会議で代表質問し、その後、記者団に「総理答弁が重なるにつけ、いよいよ迷走し始めた感じだ。推薦リストを見ていないのに自分が判断した、また、突然、偏りがあると言い出した。しかし、日本学術会議の前会長は、明確にそのことを否定している。また吉田茂元総理と中曽根康弘元総理が、あれだけ日本学術会議の独立性について強く主張されているのに、菅総理はまったく正面から答えられなかった。歴代内閣は一貫して日本学術会議の独立性についてブレがなかった。突然、菅政権でこのような違法なことが行われたことは非常に遺憾だ」と6人を任命し、正常化するよう強く求めた。志位氏は「このままで済ませるわけにはいきません。予算委員会で徹底的な追撃を行います、4日55分間、NHKテレビで中継されます」とツイッター発信した。(編集担当:森高龍二)