日本経済団体連合会は脱炭素社会の実現追求に「原子力発電は欠くことができない」と「既設原発の再稼働・建設再開、リプレース・新増設を問わず、安全性が確認され、地元の理解が得られた原発の稼働を推進していくべき」などとする『新成長戦略』を18日までに堂々と発表した。
経団連は「将来を見据え、軽水炉の安全性向上につながる技術はもちろん、安全性に優れ経済性が見込まれる新型原子炉の開発を推進することは極めて重要だ」とも提起し「脱炭素社会の早期実現を目指し、2030年までには新型炉の建設に着手すべく、国家プロジェクトとして取り組みを進める必要がある」などと菅政権に提言している。
原発推進派にとって、菅総理の「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」脱炭素社会実現の表明を原発拡大推進に利用する格好材料にしている節がある。
経団連は「原子力事業者と原子力規制当局が連携・協力し、(原発の)不断の安全性向上に取り組むとともに、国が前面に立って、原子力の安全確保策と国策の観点からの必要性を正面から論じる必要がある」と原発推進路線への道筋を狙ったものとみられる提言をしている。
しかし、原子力事業者と原子力規制当局との間には距離感確保が必要で、原子力規制委員会が科学的見地のみによる原発の安全性確保のための規制や指導をすることが国民の前に担保(確保)されていなければ、原子力規制委員会への国民の信頼は得られなくなる。
また原子力事業者と規制当局が並列であってはならない。原発依存による脱炭素社会実現にはエネルギー源の原発依存を最小限にしていくことが必要で、菅内閣が原発の新増設を認める道筋をつくらないよう国民が常に関心を持ち続けることが求められている。(編集担当:森高龍二)