菅政権が2050年カーボンニュートラルをぶち上げたのに託け、日本経済団体連合会が「原発の新増設を議論すべきだ」と声高に提唱し始めた。東京電力福島第一原発事故の教訓から原発に依存しない『脱原発依存社会』、『原発ゼロ社会』へと歩みを進めていくはずが、真逆に原発推進に利用される可能性が高まっている。
経団連は「2050CN実現には産業革命以来の人類とエネルギーの関わりの抜本的変革、主要産業の生産プロセスの革新、運輸・民生部門での革新的製品等の大規模な普及や生活様式の転換等、経済社会全体を根底から変革し、新しい経済社会の実現が不可欠」と提唱した。
そのうえで、具体化への一貫として挙げたのが原発推進だ。経団連は「原子力は2050CNに不可欠だ」と強調。「原発の再稼働、リプレース・新増設、新型原子炉等の研究開発等、今後の方針について早急に議論すべきだ」などとしている。
経団連は「原子力は2050年カーボンニュートラルに不可欠。規制当局の監督・連携のもと、事業者が不断の安全性向上に取り組むことを前提に、国が前面に立って原子力への国民理解の醸成を図っていくとともに、安全性が確認された既設の原子力発電所の再稼働と有効活用はもとより、リプレース・新増設を国策として明確に位置付け、早急に推進していく必要がある」と主張。
さらに「既設の原子力発電所の再稼働等の議論とは別に、国際的な主導権争いが激化して いる SMR(小型モジュール炉)をはじめとする新型原子炉等の研究開発を含めた、今後の原子力活用の方針についても、速やかに議論を開始すべき」などと、原発推進を提唱した格好。(編集担当:森高龍二)