新型コロナウイルス感染症の広がりが経済活動に大きな影響を与えている。全体として停滞基調だが、業種により明暗を分けている。需要が蒸発した飲食や観光業などは危機的な状況だ。一方、日常品のスーパーやネット販売、感染予防関連の分野は好調だ。
業種内でも売れ筋商品の動向は大きく変わっているようだ。引きこもり需要や感染予防関連に売れ筋商品がシフトしてゆくのは自然な流れであろう。健康や美容に良いとされる健康志向食品では、美容効果関連の需要が減少傾向で、代わって感染予防意識の高まりから免疫賦活作用関連などが伸び、市場は拡大傾向のようだ。
1月8日、市場調査業の富士経済が「健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)の国内市場調査」の結果レポートを公表している。これによれば、2020年の健康志向食品の市場規模は1兆4999億円で前年比0.9%の増加と見込まれている。感染予防意識の高まりから免疫賦活作用関連の商品などで伸びが大きかったことが市場拡大の背景とされている。免疫賦活作用関連商品は1406億円と見込まれ、前年比は8.9%増の高い伸びだ。体調管理に気を遣う消費者が増加し、免疫賦活作用関連の需要が高まっており、今後も高い伸びで推移すると見込まれている。
20年は、外出自粛や飲酒機会の減少の影響で肝機能改善や美容効果などは需要が減少すると見込まれている。一方、免疫賦活作用関連は感染予防意識の高まりから需要が急増しており、11月には機能性表示食品で初となる「健康な人の免疫機能の維持をサポート」という機能性を表示した「キリンiMUSE 水」(キリンビバレッジ)など3商品が発売され、免疫賦活作用関連商品の市場拡大をけん引することになったようだ。
20年の種類別の市場規模は、明らか食品で4793億円、ドリンク類では1兆206億円と見込まれているが、19年に比べ明らか食品の構成比は高まったようだ。明らか食品は、内食の増加でヨーグルトの需要が高まっており、整腸効果の商品が伸びると見込まれる。また、コロナ太り対策としてダイエット系商品も伸びているようだ。
ドリンク類は、自動販売機やコンビニでの販売が苦戦しているようだが、機能系ドリンクヨーグルトやプロテイン飲料は需要が増大しており、市場拡大に寄与しているようだ。(編集担当:久保田雄城)