昨年年末から新型コロナウィルス感染症の拡大に比例して内閣支持率が急激に下降し、不支持率が支持率を上回る状態に至っている。内閣支持率は景気動向にも左右され、景気が低迷すると内閣支持率が低下するという相関は以前より知られていたことであるから、感染拡大によっても内閣支持率が低下すると言うことはある意味では織り込み済みのことであったかもしれない。
世論調査をおこなう社会調査研究センターが1月16日時点での内閣支持率・不支持率についてRDD方式による全国世論調査を実施し、19日にその結果を公表している。レポートによると、1月の菅内閣支持率は33%で、12月の40%から7ポイント低下し、発足直後の9月調査の64%からは、31ポイントと大幅な低下となっている。
不支持率は57%で12月の49%からさらに増加し、12月に不支持率と支持率は逆転し、その差はさらに広がっている。支持率が続落した理由がコロナ対策へのマイナス評価にあることは明らかで、菅政権の新型コロナウィルス対策を「評価しない」の回答は12月の62%から66%に増加し、「評価しない」と回答した者の不支持率は12月の73%から今回81%と大きく上昇している。1月入って発令された緊急事態宣言についても「遅すぎる」が71%と大多数を占めている。
世代別に前回12月と今回の結果を比較すると、30代-50代にかけての実年世代で支持率の低落が顕著であるのに対して、60代以上の中高年世代の支持率に大きな変化はみられない。中高年層の支持率が低下しなかったのはなぜなのか。
「新型コロナウィルスの感染が拡大した理由」について聞いた結果では、「行政の責任が重い」が40%と最も多く、「感染対策を守らない人たちが悪い」が30%、「新しいウィルスなので仕方ない」が29%となっている。
これらのうち、世代で差が際立ったのが、「行政の責任が重い」と「新しいウィルスなので仕方ない」で、「行政の責任が重い」と回答したのは18~29歳では21%で70歳以上では51%と年齢が上がるにつれて増えていっているのに対し、「新しいウィルスなので仕方ない」では18~29歳では47%、70歳以上では16%と年齢が上がるほど低くなっている。つまり、若い世代ほど「新しいウィルスなので仕方ない」と捉えており、年齢が高い者ほど「行政の責任が重い」と考えているようだ。
30代~50代の実年層では、三つの理由が拮抗しており、割り切れなさとやり場のない思いを抱いていることが示唆される。(編集担当:久保田雄城)