立憲民主党の枝野幸男代表は11日、東日本大震災と東電福島第一原発事故から10年を迎えるのを受けた記者団からの取材に「敢えて今日申し上げたい。原子力発電所に依存しない社会は既に実現している」と表明し「(原発依存してきた)10年前に時代を後戻りさせてはいけない」と2050カーボンニュートラルなどを理由に原発の再稼働・新増設、原発稼働期間の延長を求める経済界の活発な最近の動きをけん制した。
枝野代表は「この10年、あの3・11より前、日本では多くの原子力発電所が稼働し、その電力によって社会は成り立っていた。しかし、その後、部分的に再稼働がなされた原子力発電所はあるが、原子力発電所が稼働しなくても日本の社会が成り立つということが、この10年間で既に実証されている」と指摘。
それを踏まえて「原子力発電所に依存しないでこの社会が成り立つということが既に実証されている」と述べた。そして「10年前に故郷が戻らないのと同じように、この状況を10年前の時代に後戻りさせてはいけない」と警鐘を鳴らした。また、原発に依存しない社会の中で、原発立地地域に寄り添った対応をしていく姿勢を強調した。
国内の原発は2月時点で再稼働が9基だが、このうち運転中は4基で、5基は停止している。一方、廃炉は震災前の3基を含め24基。再稼働に向けた適合確認が7基あり、審査中は11基、未申請は9基という状態だ。原発に依存しない「原発ゼロ社会」への歩みを確実に進めることこそ、福島第一原発事故が提示した教訓といえよう。(編集担当:森高龍二)