業界最小クラスの高光度白色LEDが爆誕。ドローンや自動車の未来が、より明るく、より安全に!

2021年03月14日 09:00

ローム高光度白色LED

ロームが開発した、白色チップLEDの新製品「CSL1104WB」。業界最小クラスの超小型サイズ(1.6×0.8ミリメートル)でありながら、高光度2.0カンデラを達成し、大きな話

 京都市に本社を置く電子部品メーカーのロームが、高光度を超小型サイズで実現した白色チップLEDの新製品「CSL1104WB」を発表した。最大の特長は、業界最小クラスの超小型1608サイズ(1.6mm×0.8mm = 1.28?)でありながら、高光度2.0カンデラを達成したことだ。現在、一般品として主流になっている3528サイズ(3.5mm×2.8mm = 9.8?)の製品と比較すると、なんと約87%も実装面積が削減できるというから驚きだ。

 高光度の白色LEDは、さまざまなアプリケーションにおいて視認性を向上するために用いられ、その需要は年々高まっている。中でも、電装化や自動化でインフォメーション用途が増している車載機器やバッテリー駆動のIoT機器、ドローンなどにおいては、少ないスペースにいかに多くのLEDを搭載できるかが、今後の発展のカギを握る大きな要素となる。

 例えば、今やすっかりお馴染みとなったドローンは、映像の空撮だけではなく、物流での活用もいよいよ実用化の段階に入っている。日本でも政府が2022年をめどに「操縦ライセンス(免許)」認証制度の新設を検討するなど、界隈が慌ただしくなってきた。制度の詳細はまだ明らかにされていないものの、操縦者の技能認定だけでなく、機体にも安全性を認証する「機体認証」制度を付加することで安全を担保するものになることがすでに公表されている。国が型式ごとに設計や製造工程を審査し、適合していると認められた機体のみに認証書が発行されるのだ。

 ドローンによる配送となると、「レベル4」といわれる第三者上空での非常にリスクの高い飛行状況が想定される。人や住宅の至近距離を航行するためには、より安全で安心して運用できる機体が必要だ。ドローンの飛行能力やセンサの精度、安定性などはもちろんのこと、衝突防止ビーコンなどによる視認性も重要になる。つまり、小型で軽量、視認性に優れた白色LEDの需要が今後益々、大きくなることは間違いない。

 また、高光度の白色LEDのメリットは明るさだけではない。

 例えば、車載パネル表示などで低光度品を使用した場合、カバー材の透過率を上げる必要があるため、角度によっては光漏れが起こって本来は表示したくない文字などが透けてしまうことがある。これではデザイン性もよろしくないし、誤認を招く恐れもある。しかし、高光度品を使用すればカバー材の透過率を下げても点灯時にしっかり表示され、未点灯時にはパネルを完全にブラックアウトすることが可能だ。また、白色LEDは、同じ白でも微妙に違う白が出てしまう色のばらつきも課題だった。今回、そのばらつきも改善され、きめ細やかな白色表現が可能になったため、色調整にかかっていた設計工数も削減できるという。

 かねてから需要はあったものの、白色チップLEDの高光度と小型化の両立は困難だった。ところが今回、ロームが新製品の開発に成功したことで、白色チップLEDの市場が大きく動くかもしれない。誤認を防ぐだけでなく、デザイン性も上げられることで、ブランドカラーを忠実に再現したいアプリケーションへの搭載も加速するだろう。日本製の白色LEDが世界中の最先端機器に導入され、未来を明るく安全に照らしてくれることを期待したい。(編集担当:今井慎太郎)