水戸地方裁判所の前田英子裁判長は18日、茨城県東海村にある日本原子力発電(原電)東海第2原発の安全性に問題があるとして地元住民らが起こした運転差し止め請求を認めた。原発から30キロ圏内には100万人近くが居住しているが、避難計画や実行体制が整っていないとした。
住民ら原告団は「基準地震動」が過小に設定されるとともに、千島海溝から日本海溝の広い領域で津波の発生源を想定するべきだなどを主張してきた。前田裁判長はこの主張こそ認めなかったが「原発から半径30キロ圏内の住民にとって、安全性を欠く」とした。
同原発は2011年3月の東日本大震災で原子炉が自動停止以来、休止している。ただ、18年11月に原子力規制委員会から原則40年とする原発運転期間を20年延長することが認められ、原電は原発再稼働に向けて準備を進めている。
原電は同日、判決に対して「2012年7月に水戸地方裁判所に提訴されて以降、東北地方太平洋沖地震及び東電福島第一原発事故を通じて得られた知見や教訓に加え、原子力規制委員会が策定した新たな規制基準を踏まえ、様々な対策を講じ、これまでよりも一層高 い水準での安全性を確保して万全を期すこと等をご理解いただけるよう、科学的・技術的観点等から丁寧にご説明をしてきました。当社の主張をご理解いただけず、誠に遺憾であり、到底承服できないことから、判決文の詳細を確認のうえ、速やかに控訴に係る手続きを行います」と控訴するとのコメントを発表した。(編集担当:森高龍二)