原発、安保、カジノ等で立憲らしさ滲む基本政策

2021年03月31日 06:58

 政権を目指す立憲民主党が30日、中長期的視野に立った「基本政策」を発表した。

原発新増設は認めず、地元合意ない再稼働も認めない。共謀罪は廃止、安保法制の違憲部分は廃止措置を講じる。カジノ事業は廃止、内閣人事局の改革、選択的夫婦別姓制度の導入、知る権利の強化など自民党と違う立憲民主党らしい『選択肢』を示した。

基本政策は立憲主義を守り、象徴天皇制のもと、日本国憲法が掲げる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持する、とし、自公政権で安倍内閣が憲法9条を「解釈改憲」し集団的自衛権の一部行使容認など本来の解釈では違憲とされる部分を含む安保法制を制定したことを受け、基本政策で「論理的整合性や法的安定性に欠ける恣意的・便宜的な憲法解釈の変更は認めない」。合わせて「立憲主義と平和主義に基づき、安保法制の違憲部分を廃止するなど必要な措置を講じる」とした。

 また(1)政治分野でのジェンダー平等実現にむけて国政選挙におけるクオータ制の導入をめざす(2)主権者教育を充実させ、国民の政治参画の機会を拡大する(3)参議院の合区解消や各種選挙の被選挙権年齢の拡大など時代の変化に則した選挙制度改革に努める。

 また「情報アクセス権と報道の自由の観点から『知る権利』の保障を強化し『プライバシー権』を基本的人権として明確にする。また「思想・信条の自由を侵害し監視社会を招く『共謀罪』を廃止する」とした。

 また「選択的夫婦別姓制度の導入と、女性のみに存在する再婚禁止期間の撤廃を進めるとともに、困難に直面する女性を総合的に支援する法制度の整備に取り組む」としているほか「同性婚を可能とする法制度の実現をめざす」「固定的な性別役割分担を前提とした税制や社会保障制度を見直し、世帯主単位から個人単位への転換を進める」としている。

 エネルギー政策では「再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築し、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現する」としている。特に「原発の新設・増設は行わず、すべての原発の速やかな停止と廃炉決定をめざす」と明記。「東京電力福島第一原発事故の検証や実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原発再稼働は認めない」と明確に示した。

 このほか「世界標準の動物愛護と福祉を推進し、動物虐待や経済の犠牲になる命を減らすための積極的な規制や施策に取り組む」としたほか、経済では「分散・分権型で内需主導の経済をつくり、公正な分配を推進することによって、持続的な経済成長と分厚い中間層の復活をめざす」としている。

 公務員に対しては「労働基本権を回復し、労働条件を交渉で決める仕組みを構築するとともに、内閣人事局を改革し、公正な公務員人事を行う」ことをあげた。

 またカジノ事業に対しては「ギャンブル依存症患者の増加や治安や風紀の乱れ等を招来するカジノ事業は廃止する」と明記。

 外交・安全では「国際法に則り竹島、北方領土の領土問題解決に全力を注ぐ。平和で安全なアジア太平洋をめざし、多国間協力を推進する。軟弱地盤などの課題が明らかになった辺野古移設工事は中止し、沖縄の基地のあり方を見直して米国に再交渉を求める」としている。また「抑止力を維持しつつ、米軍基地の負担軽減や日米地位協定の改定を進める」としている。(編集担当:森高龍二)