世界的な温室効果ガスCO2削減の取り組みの中でxEV(電気自動車)が次世代の車両として期待され普及し始めている。コロナ禍の現在、自動車市場は世界的に低迷しているが、その中でHEVなどのxEVがシェアを拡大し、一部地域では販売台数自体が伸びているようだ。これに連動し車載用LiB(リチウムイオン電池)の市場も急速に拡大している。
3月16日、矢野経済研究所が車載用LiBの世界市場を調査し、その推移・将来予測を行ったレポートを公表している。これによれば、2020年における世界市場規模は容量ベースで前年比125.9%の167.5GWh(ギガワット時)となり、xEV(EV、PHEV、HEV)の市場拡大と連動し大幅なプラス成長となった。タイプ別では、HEVが前年比120.3%の2.36GWh、PHEVが同183.6%の17.0GWh、EVが同121.6%の148.1GWhと推計されており、PHVでの伸びが目立っている。
コロナ禍で20年の自動車世界市場は前年比マイナスとなったものの、欧州、中国を中心にxEVが前年を上回る推移となっており、欧州、北米、中国ではHEVの販売台数が伸び、欧州ではPHEVが牽引役となっている。LiB好調はこれに連動した動きだ。
現在、各国で電動化政策が加速しており、欧州では世界で最も厳しい目標が掲げられ、自動車メーカーはHEVやPHEV等のみでは不十分で温室効果ガスを排出しないEVの販売割合を大きく引き上げる必要がある。中国では昨年、「省エネルギー・新エネルギー車技術ロードマップ2.0」が発表され、35年までに新車販売の全てを環境対応車とする方針が打ち出された。EVが軸となるがHEVにも注力度が上がっている状況のようだ。北米では、バイデン政権が規制強化へシフトすると見込まれるとともに、州による独自規制もあり、メーカーに一定量のEVやPHEV、FCVの販売を義務づけるZEV規制が市場の牽引役になると見込まれる。日本では昨年「2050年カーボンニュートラル宣言」が出され30年代半ばまでに内燃機関の新車販売ゼロを目指す方向だ。
以上のような動向分析から成長率高めの「政策ベース予測」では、25年に835GWh、30年には1809GWhになると予測されている。また、「市場ベース予測」では、25年に422GWh、30年には764GWhになると予測されている。xEV市場は引き続き補助金政策が成長エンジンになっており、今後も各国の政策の動向が注目される。(編集担当:久保田雄城)