原子力市民委員会が海洋放出方針に抗議声明発表

2021年04月13日 06:56

 政府が13日にも東京電力福島第一原発事故により増え続ける放射能汚染水の処理水(放射性物質のトリチウムは含む)を海洋放出する方針を決定する動きを受けて、原子力市民委員会(東京都新宿区)は12日までに緊急声明を発表。

 同委員会は「堅牢な大型タンクによる陸上保管の継続」あるいは「モルタル固化による処分」のいずれかの選択をするよう提言してきたにも関わらず、具体的に検討することもなく、海洋放出を決定しようとしていることに強く抗議する」としている。

 そのうえで、海洋放出に関して5つの問題をあげた。それによると(1)「海洋放出が現実的」とする報告書が公開されて以降、一般市民が意見を言えるような公聴会は開催されていない(2)政府はトリチウムの年間放出量を22兆ベクレル以下にするとしているが、これは福島第一原発における事故前の放出管理目標値(上限)であり、実際の放出実績は年間約2兆ベクレルであった。つまり事故前の10倍の量を放出し続けようとしている。

 (3)政府の計画に基づいて海洋放出をするとして汚染水(現時点でのトリチウム総量856兆ベクレル)の全量を放出するまでに40年の期間を要する。その間、タンクによる長期保管は不可避で、汚染水タンクの耐久性、耐震設計、維持管理等の問題が海洋放出によって解消されるものではない。

 (4)デブリ取出しを前提に敷地確保が必要で、タンクを増設できない理由にされているが、デブリ取出しは技術的にも費用的にまったく見通しが立っておらず、無理にすすめるべきではない。汚染水の増加を防ぐためにはデブリの空冷化を早期に実現すべき。デブリを含む事故炉を「外構シールド」で覆い、放射能の拡散を防ぐ「長期遮蔽管理」に移行すべきである。

 (5)政府・東京電力は問題を「風評」に矮小化し、魚介類や農産物の安全PRや、販路拡大の支援などで対処しようとしている。根本的な問題は、これまでの政府や東京電力の情報公開や説明が不正確かつ不誠実であったことにある。信頼回復には現実的かつ技術的な裏付けのある政策を十分な情報とともに示し、理解を得る努力が不可欠。しかしながら、政府および東京電力のこの間の対応にはその全てが欠けている、と問題提起している。(編集担当:森高龍二)