海洋放出処理水は飲料水基準の7分の1にと総理

2021年04月15日 06:26

 菅義偉総理は13日の政府与党連絡会議で、東京電力福島第一原発事故で増え続ける放射性物質汚染水の「トリチウムを含む処理水」の海洋放出について「関係閣僚会議を開き、海洋放出が現実的と判断した。今後、準備作業を進め、2年後をめどに海洋放出を開始する予定だ」と改めて現実的判断だとした。

 また「海洋放出にあたり、トリチウム濃度を国内の規制基準の40分の1、WHO(世界保健機関)の定める飲料水基準の7分の1とし、安全性を確実に確保した上で実施する」と強調。増え続ける処理水の扱いは「福島復興に向けて避けて通れない課題だ」とした。

 そのうえで「風評被害などにより、地元の方々の復興への希望が失われることがあってはなりません。先週、漁業関係者の方々と面会し、強い懸念を伺った。現場の方々の不安にしっかり向き合い、科学的根拠に基づく情報発信や風評被害を最大限抑制するための徹底した対策に万全を期すように、私が先頭に立って行うことはもちろんですけれども、全閣僚に指示した」とした。

 しかし、政権復帰後の自民党政権下で行われてきた公文書の改ざん、隠ぺい、廃棄、首相の虚偽答弁に加え、当事者である東京電力による柏崎刈羽原発でのテロ対策管理のずさんさや他人のIDカードで中央制御室に入るなど安全管理やコンプライアンスのなさから、政府や東電トップの発信に不信が強く、実効性のある監視と情報開示、透明性を担保する体制が強く求められている。

 また国際環境NGOグリーンピース・ドイツの専門家が2020報告の中で、汚染処理水に含まれる放射性物質『炭素14』に対して遺伝子への影響を指摘し、警鐘を鳴らしている点について、政府、東電は海洋に放出する前に、国民に対応を説明することが求められる。

 加えて、125万トンの処理水の約7割には「ストロンチウム90」や「ヨウ素129」などトリチウム以外の核種が含まれていることを政府も明らかにした。このため希釈だけではだめで、処理水に含まれる核種の除去を再度行い、IAEAなど確実に成分検証でき、安全性を担保することが風評被害を防ぐうえでも必要。検証・監視機関には利害関係者を除くことも当然必要な措置となる。(編集担当:森高龍二)