政府は13日、東電福島第一原発事故により敷地内で発生し続ける放射能汚染水の処理水について「今後はトリチウム以外の核種について環境放出の際の規制基準を満たす水のみを『ALPS(多核種除去設備)処理水』と呼称する」と発表した。
汚染水は燃料デブリ(溶け落ちた核燃料)冷却のための水が建屋に滞留すること、建屋内の放射性物質に地下水や雨水などが触れることで発生し続けている。
政府は「現在、タンクに貯蔵されている汚染処理水(125万トン)の約7割に『トリチウム以外にも規制基準値以上の放射性物質が残っている』ことを明らかにした。
2018年に汚染処理水の約8割から「ストロンチウム90」や「ヨウ素129」などの放射性核種が含まれていることが発覚し、「ヨウ素129」や「ルテニウム106」なども基準値を超えて含まれていた、とされていた。
経産省は「過去に発生した浄化装置の不具合や汚染水が周辺地域に与える影響を急ぎ低減させるため、処理量を優先した浄化処理等が原因で、タンク内の貯蔵水の約7割はトリチウム以外にも規制基準値以上の放射性物質が残っている」と説明。
そのうえで「ALPS処理水の処分の際に2次処理や希釈により、トリチウムを含む放射性物質に関する規制基準を大幅に下回ることを確認し、安全性を確保する」とした。
呼称の定義見直しに関して「一部に規制基準値を超える放射性物質を含む水や汚染水を放出するとの誤解がある」などとし「風評被害を防止するため行うもので、今後は『トリチウム以外の核種について環境放出の際の規制基準を満たす水のみ』を「ALPS処理水」と呼ぶ」としている。ALPSで除染効果が見込まれる核種はストロンチウム86、セシウム135、プルトニウム239、コバルト60など62の核種とされるが、「炭素14」は入っていない。(編集担当:森高龍二)