昨年末からの首都圏を中心とする新型コロナ感染拡大で該当地域の飲食店は時短営業を要請されている。1月には再度の緊急事態宣言が発出され、これに基づく時短要請への協力金は1店舗当たり1日一律6万円となった。この一律協力金については規模の大きい事業者などから「不公平感」を訴える声が上がっていた。
緊急事態宣言が解除され、4月からの「まん延防止等重点措置」に基づく飲食店への時短要請では一律6万円支給から飲食店の売り上げに応じた支給に変更となった。この変更はもちろん規模別の不公平感を解消することが目的だ。しかし、この仕組でもなお規模別の不公平感は払拭しきれないだけでなく、新型コロナの影響で売上減少が深刻な他業種とのバランスを欠くとの指摘もある。
日本総合研究所が4月13日に公表したリサーチ・アイ「『規模別協力金』、状況改善もなお残る不公平感 ―飲食業以外のサービス業の扱いも課題」の中で規模別協力金の問題点について指摘している。新たな協力金の仕組は、宣言やまん防の適用地域の中小企業に対しては売上高に応じ1日4万円から10万円が支給、大企業では減収額に応じ1日最大20万円の支給となっている。さらに、非適用地域で時短が実施された場合、中小企業で1日2.5万円から7.5万円の支給となった。
この仕組に変更されたことで、従業員規模10~19人の店舗では固定費に見合った協力金が支給され、20~29人では固定費の7割程度をカバーすることができ、一律支給に比べ固定費のカバー範囲は約4割広がっている。しかし、大規模店舗では引き続き協力金では足りない一方で、従業員1~4人の零細店舗の受取額が固定費を上回る状況は変わっていない。その超過額は1日3.1万円、1カ月96万円になる計算だ。零細店舗は飲食店の半数以上を占め、零細店舗の協力金の適正化は財政負担を大きく軽減すると考えられる。
さらに他業種への支援策とのバランスも欠いている。感染数増大による業績への悪影響は飲食業だけではない。宿泊業、生活関連サービス業、娯楽業などでも外出自粛による悪影響は強く、業績の悪化は深刻だ。レポートでは「資金繰りがひっ迫しやすい零細店舗が飲食業と同様に多い点を踏まえると、支給額や対象範囲などの面で、的を絞った効果的な現金給付へと見直す余地」あると指摘している。(編集担当:久保田雄城)