憲法記念日の3日、各政党がそれぞれの主張を展開した。憲法改正を党是とする自民党は憲法規定への「自衛隊」の明記や「統治機構のあり方に関する緊急事態」条項創設など4項目の改憲案を取りまとめ、3年の歳月が経ったとし「党挙げて、憲法改正についての理解促進に努めてきた」と主張。
そのうえで「自由民主党は4項目をはじめとした様々な論点に関し、国会の場で活発な憲法議論を行うとともに、主権者である国民にご理解をいただくことができるよう、全力を尽くして取り組んでまいります」とした党声明を発表した。自民党は、同時に改憲手続きに必要な国民投票法改定案の早期成立を狙う。
一方、立憲民主党の枝野幸男代表は自民党内からコロナ対策に絡めて憲法への緊急事態条項創設の必要を主張する声が出ていることから「感染拡大防止のため真に必要な権限は『公共の福祉』にかなうものとして現行憲法下でも認められている」と反論。
そのうえで「政府がここまで(コロナ対策で)無策、不十分、的外れな対策しかできなかったのは、政府の権限が限定されているからでも、緊急事態条項が憲法に明記されていないからでもありません。政府が、国民の命と生活を真正面から背負うことに怯み、小手先の施策に終始してきたからです」と指摘。
枝野氏は「日本に暮らす人々の命と生活を守るために政治があります。立憲民主党は立憲主義と日本国憲法の基本理念を守り抜くこと、新型コロナウイルス感染症を国民の皆さまと乗り切ること、そのために政治に課された役割をしっかり果たして参ります」と代表談話を発表した。
日本共産党の小池晃書記局長は「今年の憲法記念日は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の『第4波』によって東京、大阪など4都府県に緊急事態宣言が発令されるもとで迎えた。菅政権の無為無策のために医療体制はひっ迫し、国民の命もくらしも危機的な状況に陥っている。いま政治に求められているのは憲法が国民に保障する『幸福追求の権利』(13条)や『生存権』(25条)、『財産権』(29条)を全面的に生かし、感染症対策への政治の責任を果たすこと」との談話を発表した。
小池氏は「そのためにも、大規模なPCR検査、抜本的な医療支援、雇用と営業を守る十分な補償と支援に本気でとりくむこと」が必要だとした。
また小池氏は「2012年12月の第2次安倍政権発足以来、憲法記念日は改憲勢力による憲法攻撃のなかで迎えてきたが、国民の世論と運動が改憲勢力を包囲し、9条を中心とする明文改憲を許してこなかったことは大きな成果」と呼び掛けた。
そのうえで「コロナ危機に乗じた改憲手続き法=国民投票法の『改正』強行に断固反対する。憲法23条の『学問の自由』を蹂躙(じゅうりん)した学術会議会員の任命拒否を撤回させるまで奮闘する。憲法9条改定のあらゆるくわだてに反対し、9条を生かした平和日本を築く」ことへの決意を示した。(編集担当:森高龍二)