2020年の企業倒産件数は前年比で減少している。これは新型コロナウイルス感染症の流行に伴う各種支援策の効果であるとされるが、また日本のマクロ経済が昨年春を谷底に回復基調に転じたためでもあると思われる。しかし、新型コロナのマイナス影響は個人消費向けなど特定業種を中心に極めて深刻な状態にある。全体の企業倒産は減少しているとはいうものの、長期化するコロナ禍で企業の借入比率は増大しており、また息切れ倒産に至るケースも少なくなく、コロナ関連倒産は増勢傾向で推移しているようだ。
東京商工リサーチが公表した「新型コロナウイルス関連破たん」の調査によれば、7日16時時点での「新型コロナ関連の破たん(負債1000万円以上)」は全国で累計1375件(倒産1301件、弁護士一任・準備中74件)となっており、調査で判明した負債1000万円未満を含めると累計1445件となる。
業種別に見ると、時短や休業要請などで打撃を受けた飲食業が250件で最多となっている。4都府県への緊急事態宣言は5月31日まで延長となり、さらに愛知県、福岡県の2県が対象地域に追加されることが決まった。これらの地域では休業や時短の要請など営業制限が続き、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。飲食店に次いで多いのが建設業の120件で、工事計画の見直しなどが影響しているようだ。また、アパレル関連の製造、卸売は115件で、小売店の休業が影響した模様だ。この他、ホテル、旅館の宿泊業が78件と、引き続きインバウンド需要消失や旅行・出張の自粛の影響が続いている。さらに、飲食業など不振の影響を強く受ける飲食料品卸売業で62件、食品製造業47件などが目立ち、不振業種の関連業種に悪影響が広がっている模様だ。
「新型コロナ関連破たん」のうち、従業員数(正社員)の人数が判明した1305件の従業員数の合計は1万7177人にのぼり、従業員5人未満の小規模企業が684件で全体の52.4%と半数を占めている。
月別推移を見ると2月が122件、3月139件。4月には154件と150件を超え増勢ペースは加速している。支援策は継続されているが長期化による息切れやあきらめ型破たんの増加に加え過剰債務の問題も浮上している。レポートは「コロナ関連破たんは引き続き増勢を強める可能性が高まっている」としている。(編集担当:久保田雄城)