感染阻止できずに五輪の開催を強調 官房長官

2021年05月25日 06:56

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大阻止ができていないにもかかわらず、加藤勝信官房長官は23日のNHK番組で東京五輪・パラリンピック開催に「感染をしっかり抑え込み、ワクチン接種を早期に進めることで、より一層の国民の安心を確保していく努力を重ねる」などと努力を強調。中止や延期を望む国民世論が8割に上る中で、科学的根拠を示さず、開催ありきの強い姿勢をうかがわせた。

 また国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は国際ホッケー連盟の22日のオンライン総会で「五輪の夢を実現するために、誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」などと暴言。この発言に日本共産党の志位和夫委員長は「『誰もが犠牲』を払う五輪に開催する意義はない」と断じた。

 ネット上では「誰もが犠牲になったオリンピックのメダルにアスリートは喜ぶだろうか」と疑問を呈する声や「欲にまみれると正しい判断ができなくなる」「オリンピックなど要りません。元の生活を下さい」など批判の声。「一番この状況を理解している日本の選手から辞退が現れないのが一番残念」などの声があがった。

 5月22日現在、国内累計感染者数は71万5000人を超え、死亡者も1万2200人に上った。世界3大通信社のひとつ、AFP通信は世界の新型コロナウイルス感染症による死者について21日午後7時のまとめで343万人と報じた。コロナ感染対策が最優先されなければならない中、五輪開催国として感染爆発の危険を冒してまで開催にこだわる必要がどこにあるのか、IOCはもちろん、政府・東京都・大会組織委員会の責任が強く問われる。(編集担当:森高龍二)