「今の状況で五輪、普通はない」と尾身会長

2021年06月03日 06:16

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は2日の衆院厚生労働委員会で、東京五輪・パラリンピック大会について「今の状況でオリンピックをやるというのは、普通はない」と明言した。

 そのうえで、このような状況の中で五輪・パラリンピックを開催するというのであれば「開催規模をできるだけ小さくし、管理体制をできるだけ強くすることがオーガナイザー(主催者・組織者)の責任だ」と強調した。

 尾身氏の発言には、なぜ、この状況で五輪・パラリンピックを開催するのか、その疑問符や人流増によるコロナ感染への懸念がにじみ出ていた。菅義偉総理や小池百合子都知事、橋本聖子組織大会委員会会長には尾身会長ら専門家の重い発言内容にも心には響かないようで、「開催ありき」の中で「見ざる聞かざる」を決め込んでいる深刻な状況だ。

 尾身会長はどうでも開催するというのであれば「三位一体の努力が必要だ」とし「政府、自治体のリーダーシップによる一般市民の協力で、人流に伴うことをなるべく減らすこと、ここにきて緊急事態宣言などへの協力が得られにくくなってきているというのが現実だ」と述べた。

 また「人々の努力だけに頼る時期は過ぎた」とし「ITのテクノロジーとサイエンスを最大限使うことが必要だ」。「オリンピック組織委員会の人たちに、大会の規模をできるだけ最小化し、管理体制をできるだけ強くすること」を強く求めた。日本共産党の宮本徹議員の質問に答えた。(編集担当:森高龍二)