宮内庁長官の拝察発言で総理ら反応に相次ぐ批判

2021年06月27日 07:24

 パンデミックの中、特に五輪会場の東京では「第5波」が強く懸念される状況にあり、宮内庁の西村泰彦長官が24日の定例記者会見で「天皇陛下は現下の新型コロナウイルス感染症の感染状況を大変心配されている。(陛下は東京五輪・パラリンピック開催が)感染拡大につながらないかを懸念されていると拝察している」と述べたことに、菅義偉総理は25日、「西村長官ご本人の見解を述べたと理解している」と長官自身の発言にすり替えた。

 いまや、五輪開催の是非、有観客・無観客の是非が政治問題化していることから、陛下が政治的発言はできないため、宮内庁長官が陛下の思いを「拝察」し、発信していると受け止めるのが自然なのだが、総理はじめ、加藤勝信官房長官、丸川珠代五輪担当大臣が揃って、西村長官自身の見解と、開催そのものの安全性を強く懸念していることにはスルーする姿勢をとっている。

 ネット上では「陛下は、政治に対し、直接口だしできないから、遠回しに陛下の思いを伝えているのにガン無視的な言い方は良くないと思う」「宮内庁のトップがこれほど重要なことを閣下(陛下)の意図なしで公に発言する訳がない。これではオリンピックを応援する気にも、政府の協力要請にも今後応じる気がなくなった」。

 「政治的発言を禁じられているからこのような形での発表になっているのを分かった上でこのような無視をするとは!考えられないほど卑劣な人間だ。権力をもたせてはいけない人間に権力をもたせるとろくなことはない」「都合が悪いと五輪と政治は別と言ってたくせに」「都合が悪くなると『専門家のご意見』も封じてしまう菅政権。今度は天皇の意向までも『長官ご自身の意見』として無視する構え」などなど総理・閣僚への批判が相次いでいる。(編集担当:森高龍二)