野田佳彦元総理は菅義偉総理が男女共同参画担当大臣に丸川珠代氏を任命した人事で「この内閣には夫婦別姓を実現する気が全くないことが分かった」と5日のコラム(かわら版)に書いた。
野田氏は「国が国民に対し、姓も含めて特定の家族の形態を押し付けるべきではありません。家族を守ること、家族を大切にすること、家族の一体性や絆、いずれもとても重要なことです。でも、それらをどのように実現するかは、国民の自由な選択に委ねるべきです」と結んでいる。
野田氏はコラムの中で「私と同姓の野田聖子・自民党幹事長代行には選択的夫婦別姓に賛成の立場で同党内(自民内)の世論を変えてほしいと期待していました」と期待していたことも書き込んでいる。
野田氏は最高裁が夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定を合憲とする一方、制度の在り方については「国会で論じられ、判断されるべき」としたことをあげ、「司法は結論を出すことから逃げ、国会に『げた』を預けたということだ」とし、国会での議論を求めた。
また「国連の女性差別撤廃委員会はわが国に対し繰り返し『選択的夫婦別姓制度』を導入するよう求めています。しかし、政府は重い腰を上げようとしません。自民党内に慎重な意見が多いからです」と自民党の問題をあげた。
そして、自民党内の反対の「代表的な意見は『夫婦が同じ姓だからこそ家族の一体感が保てる』です」との意見をとりあげ「ナンセンスとしか言いようがありません。私は同姓か別姓かと家族の一体感は関係ないと思っています。姓が同じでも、バラバラな家族だってあります。別姓が認められているから、家族の絆が壊れたとも聞きません。夫婦が同姓でなければ家族の一体感が保てないというカップルであれば、同姓を選べば良いと思います。しかし、別姓を強く望むカップルがいれば、その願いが拒否されるべきではないでしょう。特定の価値観を押し付ける国家であってはならないと思います。だから、姓については個人や家族が自由に選択できるようにすべきです」と特定の価値観を押し付ける国家であってはならないとして、夫婦別姓を認めるべきと訴えている。(編集担当:森高龍二)